演題

大腸癌卵巣転移切除症例の検討

[演者] 野元 大地:1
[著者] 倉本 正文:1, 山下 晃平:1, 山本 謙一郎:1, 池嶋 聡:1, 島田 信也:1, 馬場 秀夫:2
1:熊本総合病院 外科, 2:熊本大学大学院消化器外科学

【背景】大腸癌卵巣転移は大腸癌患者の1.6~3.5%と稀であり,診断後の生存期間は19~27か月と予後不良である.予後不良の原因としては化学療法に反応しにくいこと,腹膜播種合併の頻度が高いことなどが挙げられる.卵巣転移の治療方針については大腸癌治療ガイドラインでは言及されていない.卵巣切除が予後改善に寄与するかは明らかでなく,卵巣転移切除の術式(片側か両側か,網嚢切除を加えるか)についても一定の見解は定まってはいない.
【目的】大腸癌卵巣転移切除症例における臨床病理学的因子,予後を解析し,卵巣切除の有用性を検討した.
【対象】2011年11月から2016年9月に,当科で大腸癌卵巣転移に対して卵巣切除術を行った4例を対象とした.
【結果】平均年齢は64.2歳(55~71歳)で,いずれも閉経後であった.原発巣は盲腸1例,横行結腸1例,S状結腸1例,原発不明1例で,いずれも同時性卵巣転移であった.2例は転移が卵巣のみで,他2例は肝肺転移,腹膜播種も認めた.腫瘍マーカーは3例でCEAの上昇を認めた.CA19-9は上昇していなかった.4例とも原発巣切除+卵巣切除が行われた.片側卵巣切除が2例,両側卵巣切除が2例,網嚢切除・後腹膜リンパ節郭清はいずれも行われなかった.1例は腹膜播種結節が1か所のみであっため播種結節切除を行った.原発巣の壁深達度はSSが2例,SIが1例.リンパ節転移はN2が1例,N1が2例.脈管侵襲はly1が3例,v1が2例,v2が1例であった.術後化学療法は全例で行われており,XELOXが1例,XELOX+Bevacizumabが2例,FOLFOX+Bevacizumabが1例だった.現在4例とも生存している(3ヵ月~2年6カ月).転移が卵巣のみであった2例については無再発で経過しており,肝肺転移・腹膜播種を認めた2例については化学療法を継続しSD~PRを維持している.
【まとめ】転移が卵巣に限局する場合,原発巣に加え卵巣を切除することで予後改善につながる可能性がある.大腸癌卵巣転移の治療方針は,今後も症例を蓄積し検討していく必要がある.
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