演題

大腸癌同時性肺転移に対する治療について

[演者] 石井 博章:1
[著者] 風間 伸介:1, 髙野 道俊:1, 竹ノ谷 隆:1, 西澤 雄介:1, 福田 俊:1, 網倉 克己:1, 西村 洋治:1, 川島 吉之:1, 坂本 裕彦:1
1:埼玉県立がんセンター 消化器外科

【目的】大腸癌同時性肺転移においては,大腸原発巣手術および肺転移巣手術と2期的な手術を要することが多い.治療にあたっては,予後や再発に関わる因子を把握し,また化学療法を組み合わせながら,より効果的な治療を行っていくことが必要である.そこで今回我々は大腸癌同時性肺転移の治療成績および予後や再発に関わる因子を明らかにすることを目的とした.
【対象・方法】2005年4月から2016年10月の間に,原発性大腸癌に対する手術を行い,同時に肺転移のみを有するStageIV 33例を対象とし,後方視的に予後や再発について検討を行った.
【結果】平均年齢 64.8歳.男性19例,女性14例.原発巣占拠部位は直腸17例,結腸16例.原発巣・肺転移巣ともに切除を行い得た症例(A群)は23例,原発巣のみの切除となった症例(B群)は10例であった.両群間の背景因子を比較した結果,肺転移が片側であること(p=0.0309),肺転移個数が2個以下であること(p=0.0309),肺転移症例の予後分類でGrade A, Bであること(p=0.017) が,A群で有意な因子であった.予後もA群でより良好であり,3年生存率はA群 80.6%,B群 20%であった(p=0.0014).
他の予後因子についても解析を行ったところ,原発巣占拠部位(結腸/直腸;p=0.0269),リンパ節転移(無/有;p=0.0178),予後分類でGrade Aであること(p=0.0102)が単変量解析で有意であった.多変量解析では,リンパ節転移(リスク比 0.22, 95%CI 0.06-0.66)と原発巣・肺転移巣ともに切除(リスク比 0.17m 95%CI 0.05-0.52)が独立した予後因子であった.A群のうち,13例で再発を認め,3年無再発生存率は31.9%.再発に関する予後因子は術後化学療法(p=0.0062)のみであった.
また,今回検討した症例の中には直腸癌術後に縫合不全を来たした症例や,原発巣切除後に長期の化学療法を行い,肺転移巣も切除可能となったconversion症例も含まれていた.
【結論】大腸癌同時性肺転移症例に対して,原発巣のみならず肺転移巣を切除することがより良い予後につながる.大腸癌手術においては,重大な合併症を起こさないよう留意が必要であり,また個々の症例に応じて術前・術後の化学療法を効果的に組み合わせて治療していくことが重要と考えられた.
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