演題

下部直腸癌に対するtaTMEの手技に必要な解剖学的ランドマークとpit fall

[演者] 小池 淳一:1
[著者] 塩川 洋之:1, 牛込 充則:1, 金子 奉暁:1, 鏡 晢:1, 鈴木 孝之:1, 甲田 貴丸:1, 栗原 聰元:1, 島田 英昭:1, 船橋 公彦:1
1:東邦大学医療センター大森病院 消化器センター(外科)

【はじめに】骨盤深部に存在する下部直腸癌では,限られた方向からの骨盤内操作になる為に肛門温存術の難易度が高く,特に肥満,deep / narrow pelvic, bulky tumorなどの要因が加わると更に困難となる.進行癌ではoncological に安全なCRMの確保が必須であり,確実なCRMが疑わしい場合には術式の変更も術中早期に求められる.taTMEの利点はそれらの課題を克服する可能性がある術式として近年急速に導入されている.しかし解剖学的ランドマークの同定が困難であり,大きな合併症に繋がる事が危惧さている.当科ではtaTMEを1999年より直視下操作で導入し,2013年より腹腔鏡システムを応用したtaTMEへと移行した.これまで培ってきた知見をもとに解剖学的ランドマークとpit fallについて検討を行い,短期成績とともに報告する.【対象】2013年10月からこれまでに23例でtaTMEを行った.適応はT3以浅,側方リンパ節転移を認めない症例,ICの取得可能な症例で,内訳はISR 14例,CAA 9例,男性18例,女性5例で,平均年齢66.5歳,平均BMI: 21.8(18.6-30.4)であった.【肛門操作】直視下で内外括約筋間切離を全周性に行った後,EZアクセスを装着し,AirSeal systemにて送気を行う.後壁側から壁側骨盤筋膜の内側の疎性結合織に達し,左右に剥離層を広げ頭側に進む.男性の前壁はNeurovascular Bandle(NVB)の損傷を避けるために前立腺正中でまず剥離を進め,Denonvillier's fasciaの直腸側で左右にハの字状に剥離を行いながらダグラス窩の腹膜反転部に到達することが可能である.側方向は骨盤内臓神経をlandmarkとしながら内側で剥離を進めると,岬角近傍までのTMEが可能である.前【結果】R0手術は100%で,手術時間中央値は414m,出血量中央値は96ml,RPSで行えたのは15/23 (65.2%),術後排尿障害3例,縫合不全1例で術後在院日数中央値は19日であった.【まとめ】下部直腸癌に対するtaTMEは安全で腹腔操作が軽減でき有用と考えるが,合併症を避けるには十分な解剖学的知識が必要とされる術式である.今後更なる症例の集積を重ね報告する.
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