演題

PP3-1

当院における胆嚢捻転症9例の検討

[演者] 岡 直輝:1
[著者] 林 健太郎:1, 藤井 渉:1, 本城 弘貴:1, 髙橋 知子:1, 林 賢:1, 山田 成寿:1, 角田 明良:1, 三毛 牧夫:1, 草薙 洋:1
1:亀田総合病院 消化器外科

【はじめに】胆嚢捻転症は比較的稀であるが,早期の手術が推奨されており急性腹症の中でも重要な疾患の1つである.近年画像診断の進歩による胆嚢捻転症の診断率は向上したものの,今もその診断に悩む事は少なくない.今回我々は2005年8月から2016年10月までの間に手術施行した9例の胆嚢捻転症を対象とし,それらを検討,報告する.【結果】年齢中央値は87歳(75歳~94歳),全例女性でBMI中央値は19.3(14.3-25.8)であった.1例を除き主訴は腹痛であった.体温の中央値は37.5度(35.7-38.0),白血球数の中央値は11300 /μl(4800-24600 /μl),CRPの中央値は4.12(0.03-24.65)であった.全例に腹部CT検査が撮像され胆石を認めたのは1例のみであった.軸偏位は9例全例,粘膜の造影不良は4例,Whirl signも4例で認めた.術前に腹部超音波検査にて血流評価を施行したのは2例でいずれも動脈血流が保たれていた.術前から胆嚢捻転を疑っていたのは8例であり,入院してから手術までかかった日数は中央値0日(0-6日)であった.手術方法は腹腔鏡下胆嚢摘出術3例,開腹胆嚢摘出術6例であり,全症例で術後合併症なく経過した.病理検査結果では8例に全層壊死を,残り1例は粘膜壊死を認めた.【考察】胆嚢捻転症は過去の文献の通りやせ型の高齢女性に多かった.初診時にCRP値が20を超えたのは4例で,うち3例は同日撮像した腹部造影CT検査にて粘膜の造影不良を認めた.腹部超音波にて血流評価を行った2例のうち1例は腹部造影CT検査にて粘膜の造影不良を認めた.この2例は術中所見にて不完全型胆嚢捻転症に分類されるものであり,捻転の程度によっては動脈血流が維持される可能性が示唆された.この2例の病理検査結果は1例が全層壊死,1例が粘膜壊死であり,画像検査で動脈血流が保たれているとしても胆嚢が全層壊死している可能性がある事が示唆された.また胆嚢捻転症は腹腔鏡での手術の良い適応であるとの報告が複数あるが,当院で唯一胆嚢捻転症を術前に見逃し待期的手術となった症例では胆嚢と周囲臓器との癒着が生じており,腹腔鏡使用した他2例よりも手術時間が1時間以上長かった.【結語】当院で経験した胆嚢捻転症9例を検討,報告した.画像検査上は血流が保たれていると判断された胆嚢捻転症も粘膜・全層壊死している可能性があると思われた.また胆嚢捻転症が原因で発症した急性胆嚢炎は早期の手術が望ましいと考えられた.
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