演題

PP2-7

当科におけるIPNB切除例の臨床病理学的検討

[演者] 徳久 善弘:1
[著者] 坂本 和彦:1, 徳光 幸生:1, 飯田 通久:1, 鈴木 伸明:1, 武田 茂:1, 吉野 茂文:2, 硲 彰一:3, 上野 富雄:1, 永野 浩昭:1
1:山口大学大学院 先端分子応用医科学講座(消化器・腫瘍外科学), 2:山口大学附属病院 腫瘍センター, 3:山口大学医学部 先端がん治療開発学

【はじめに】近年,胆管内に乳頭状増殖を示す腫瘍に対してIntraductal papillary neoplasm of bile duct(以下,IPNB)という疾患概念が提唱され,2010年WHO消化器腫瘍分類改訂版ではIPNBは胆管癌の前癌病変,早期癌病変としているが,いまだ明確な定義は確立されていない.今回,胆道内に乳頭状増殖を示した腫瘍をIPNBと定義して,当科で切除したIPNBの臨床病理学的特徴について検討した.
【対象・方法】2005年~2016年までに,当科で切除したIPNB15例を対象とした.
【結果】平均年齢は64.8歳(31~85)で男性5例,女性10例であった.平均腫瘍径は57.6mmで,発生部位は肝内胆管8例,肝外胆管7例で,胆管と明らかな交通を認めたものは13例であった.①術前診断:腫瘍マーカーの上昇はCA19-9が8例で認め,CEAは全例で陰性であった.胆汁細胞診で悪性と確定診断されたものは1例のみで,悪性疑い例は2例のみであった.5症例で術前に胆道鏡を施行し,粘膜病変を観察した.②手術術式:肝葉もしくは3区域切除が9例,膵頭十二指腸切除が3例(HPD1例含む),胆嚢床切除が2例,区域切除が1例,嚢胞開窓が1例であった.肝外胆管切除は10例であった.良性疾患3例を除く12例でリンパ節郭清を施行した.③病理診断:組織学的に良性3例はすべてmucinous cystic neoplasmで,非浸潤癌が4例,浸潤癌が8例であった.浸潤癌の3例にリンパ節転移を認めた.全例胆管断端は陰性であった.④予後:平均観察期間は40か月(7か月~97か月)で2例が術後3年と5年7か月で胆管内再発を認め,2例ともに浸潤癌例であった.非浸潤癌の1例のみが術後1年6か月で他病死したが,他の14例は生存中で,原病死を認めていない.また,非浸潤癌4例と浸潤癌8例の比較では,術前の腫瘍マーカーや腫瘍径,粘液の有無に差を認めず,さらに,術前の非浸潤癌の診断は困難であった.
【結語】術前の非浸潤癌と浸潤癌の鑑別は困難なことより,現時点では,IPNB症例も胆道癌と同様,胆管断端陰性の切除と胆道癌に準じたリンパ節郭清が望ましいと思われた.また,胆管内再発を認めることから,胆道精査を含めた長期のフォローアップについても重要であると考える
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