演題

PP2-4

当科における経十二指腸的乳頭部切除症例の臨床病理学的検討

[演者] 西山 岳芳:1
[著者] 児島 亨:1, 仁熊 健文:1, 渡辺 信之:1, 伏見 卓郎:1, 丸山 昌伸:1, 宇野 太:1, 木村 臣一:1, 片岡 正文:1, 三村 哲重:1
1:岡山済生会総合病院 外科

【はじめに】近年,十二指腸乳頭部腫瘍に対して経十二指腸的乳頭部切除術(transduodenal papillectomy, TDP)を行った報告が見られるが,未だ症例の蓄積は十分ではない.当科では,内視鏡的治療が困難な十二指腸乳頭部腫瘍において,臨床的に悪性が否定できない症例,あるいは悪性であっても膵頭十二指腸切除に対する耐術が困難なハイリスク症例に対し,TDPを適応としてきた.今回,TDPを施行した乳頭部腫瘍症例を臨床病理学的に検討したので,当科におけるTDP手術手技動画と合わせて報告する.【方法】当科において2008年から2016年8月までにTDPを施行した10例を対象とした.【結果】性別は男性7例,女性3例であり,平均年齢は76歳であった.他臓器の手術と同時に行われた症例が3例存在し,TDP単独で施行した7例においては,平均手術時間は249.6分,平均出血量は85.8ml,平均術後在院日数は21.3日であった.術後合併症はClavien-Dindo分類にて合併症なし/4例,gradeⅠorⅡ/2例,Ⅲb/1例であった.胆管・膵管ステントに関しては,ステントなし/2例,膵管ステントのみ留置/2例,胆・膵管ステント両方留置/6例であり,術後晩期に狭窄を来した症例はなかった.術前診断は腺腫/9例,腺癌/1例で,腺癌の1例は,高齢で肺・腎機能低下を認め,耐術能を考慮し乳頭部切除が選択された.全例に術中迅速診断が施行され,迅速病理にて悪性を認め術式を変更した症例はなかった.最終病理診断は,術前診断が腺腫であった9例のうち1例が過形成であったが,その他は術前診断通り腺腫であった.腺腫8例のうち,病理組織学的に高度異型が示唆された症例が1例あり,術後8か月後に乳頭部腫瘍を再発し,初回手術から16か月後に膵頭十二指腸切除を施行した.再手術での病理診断にて腺腫成分の中にわずかにtub1成分を認め,乳頭部腺癌と診断された.再手術後10か月経過し,無再発生存中である.術前診断が腺癌であった1例は,最終病理診断にてpT1bであった.術後14か月で再発し閉塞性黄疸を来したが,追加切除は行わずBest Supportive Careとなった.【考察と結語】臨床的に悪性が否定できない乳頭部腫瘍に対して,TDPはtotal biopsyとして優れ,早期,晩期合併症も少なく,高齢・ハイリクス症例にも安全に施行可能であった.また異型度の高い腺腫に関しては慎重な経過観察を必要とすることが示唆され,早期癌に対する縮小手術としては容易に適応とすべきではないと思われた.
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