演題

PP1-6

偶発胆嚢癌症例の臨床病理学的検討

[演者] 須藤 翔:1
[著者] 北見 智恵:1, 河内 保之:1, 松本 瑛生:1, 角田 知行:1, 川原 聖佳子:1, 牧野 成人:1, 西村 淳:1, 新国 恵也:1
1:長岡中央綜合病院 外科

【目的】胆嚢良性疾患として胆嚢摘出が施行され,偶発的に胆嚢癌と診断される症例は,画像診断技術が進歩した現在でも一定の頻度で認められる.偶発胆嚢癌症例の臨床病理学的特徴や治療成績を示し,適切な治療方針に関して再考する.
【方法】当院で2000年1月~2016年10月に胆嚢摘出を施行された1299例のうち,術中または術後の病理所見から胆嚢癌と診断された22例(1.7%)を対象として,後方視的に診療内容を検討した.臨床病理学的因子は,胆道癌取扱い規約第6版に基づき記載した.
【結果】22例の平均年齢は71歳,男女比は8:14であった.術前診断は胆嚢炎17例,胆嚢結石5例であった.経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)は10例(45%)で施行された.術式は腹腔鏡下胆嚢摘出(LC)11例(50%),LCから開腹移行3例(14%),開腹8例(36%)であった.術中胆汁漏を13例(59%)に認め,6例はPTGBD施行例であった.肉眼型は平坦型15例(68%),乳頭型7例(32%)であり,局所進展度はTis 1例,T1a 7例,T1b 3例,T2 4例,T3a 5例,T3b 2例であった.追加切除は9例(T1b 1例,T2 2例,T3a 4例,T3b 2例)に施行され,うち2例は術中に胆嚢癌と診断され,一期的に追加切除が施行された.追加切除術式は,拡大肝右葉切除2例,胆嚢床切除7例であり,肝外胆管切除は8例に併施された.22例中7例(32%)でリンパ節転移を認め,うち1例はT1b症例であった.Gemcitabineを中心とした術後補助化学療法が7例に施行された.術後再発を6例(27%)に認め,腹膜播種3例,局所再発3例,肝再発2例,リンパ節再発1例であった(重複有).術中胆汁漏と腹膜播種再発とは統計学的に有意な関連は認めなかった(P=0.77).22例の疾患特異的5年生存率(5生率)は62%であった.T2-T3症例は5生率34%であり,Tis-T1症例の5生率100%に比して有意に術後成績不良であった(P=0.01).リンパ節転移陽性例の5生率は43%であった.
【結論】局所進展度がTis-T1に留まる偶発胆嚢癌症例は,胆嚢摘出のみで予後良好である.一方,T2以上の症例やリンパ節転移陽性例の予後は不良であり,積極的な追加切除の実施のみならず,補助化学療法を含む集学的治療体系の確立が求められる.本研究の結果からは,術中胆汁漏と腹膜播種再発との有意な関連は示されなかった.しかし,胆嚢摘出例の1.7%に偶発胆嚢癌を認め,半数が進行癌であったことを考慮すると,術中胆汁漏には常に注意を払うべきであると考える.
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