演題

PO3-6

単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術の難易度に与える因子についての検討

[演者] 出口 勝也:1
[著者] 伊藤 忠雄:1, 吉井 一博:1
1:丸太町病院 外科

【はじめに】胆嚢結石症(胆石症)に対する胆嚢摘出術は,腹腔鏡手術が標準術式となっているが,手術手技やデバイスの発達により,単孔式腹腔鏡手術(TANKO)を行う施設が増えてきている.当院でも2014年1月より同術式を導入したが,TANKOが困難な症例もある.今回我々は後方視的に,TANKOの難易度に関する因子につき検討した.【対象および方法】2015年4月から2016年10月で,急性胆嚢炎の既往を除く当院で施行した胆石症に対するTANKO施行34症例を対象とした.手術時間を難易度の指標とし,年齢,性別,BMI,開腹術の既往,総胆管結石の既往,CTでの胆石の個数,胆嚢壁の厚さ,腹壁の厚さ,臍から胆嚢管までの距離,癒着,術式,胆汁流出,ポート追加等を検討した.統計学的解析にはMann-Whitney U-testおよびχ2検定を用い,p<0.05を有意差ありとした.【結果】全例の手術時間の平均は90.6分であり,90分未満(ST群:20例),90分以上(LT群:14例)に分類した.全例がTANKOで開始し,ポート追加は7 例(ST群2例),開腹移行は1例(ST群0例)に認めたが,胆管損傷・ドレーン留置例はなかった.両群において,年齢,性別,BMI,腹壁の厚さ,臍から胆嚢管までの距離,開腹術の既往,手術時に総胆管結石を有すること,胆嚢と肝床との癒着で差は認めなかった.総胆管結石の既往は手術時間延長の因子であった(ST群0例:LT群9例;p<0.05).術式としては,順行式胆嚢摘出術(ST群18例:LT群6例;p<0.01),胆嚢周囲の癒着(ST群2例:LT群10例;p<0.001)が手術時間延長の因子であった.手術結果として,出血量の平均はST群少量:LT群14.3mgで,ポート追加はST群2例:LT群5例であったが有意差は認めなかった.総胆管結石の既往症例における胆嚢周囲の癒着は,ST群の2例中には認めなかったが,LT群の6例中4例に認めた.【考察】総胆管結石の既往のある症例は胆嚢周囲に癒着をきたしている可能性があることを念頭に慎重な術式選択を行うことが重要と考えられた.また術式において,Calotの三角の同定,処理が可能な症例でも逆行式胆嚢摘出術を行っている症例を認めた.【結語】更なる症例の蓄積が必要であるが,胆道炎の既往を考慮のうえ,可能な症例では順行式に手術を行うことが,TANKOをより安全に短時間で施行することにつながると考えられた.
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