演題

PO3-5

単孔式腹腔鏡下手術=「美容性が優位」への挑戦:腹部正中横切開(4cm)の手術痕の検討

[演者] 市原 隆夫:1
[著者] 谷崎 慶子:2, 朴 美和:2, 林 太郎:2
1:友紘会総合病院, 2:彩都友紘会病院

(はじめに)内視鏡外科手術は発展の一途をたどり,さらなる低侵襲としてsingle port surgeryがその主体となりつつある.しかしこの手術は助手への高負荷,緊急事故時での対応,高難度例に対する手技上の限界など,熟練により克服可能とされるものの制限が多い.当科で行っている腹部正中横切開の美容性,低侵襲性について検討,単孔式への挑戦を試みた.
(下腹部正中横切開)適応は主に左側結腸切除,直腸切除.臍に1㎝のカメラポート,恥骨頭側約1cm正中に4㎝の横皮膚切開を行い,皮下を頭尾側に4㎝皮下剥離を行い,腹直筋白線,腹膜を縦に4㎝切開して開腹する.ここにFALS-TOPを装着し術者右手操作ポート,加えて助手鉗子,子宮鈎などを同時に挿入しMALTI-PORTで操作する.他は3ポート造設,
(上腹部正中横切開)適応は主にLADG,LATG,食道癌胃管作成術,カメラポートは臍,胸骨柄尾側約3cm正中に4㎝の横皮膚切開し,腹直筋白線と腹膜を縦に4㎝切開開腹する.ここにFALS-TOPを装着し肝臓圧排鈎,臨時カメラポート,術者左手操作ポートなどを同時に挿入MALTI-PORTとして操作する.他は3ポート.
(成績)2012年4月から2013年4月までの下腹部正中横切開連続20例と2015年4月までの上腹部連続20例について検討した.全例が術前予定術式が完遂されており.術6か月後の創長は82%,70%に縮小,瘢痕幅5㎜以上例は5%.1%.
(美醜評価)1cmの臍創は患者に自覚される臍の変形はなかった.1-2cmに設置する下腹部正中横切開創痕は全例体毛,下着の着用により被覆された.また瘢痕幅の拡大が少ない腹部正中横切開は,創長の短縮とともに,半年後には患者には腹部横走皺の増加以上の意識は少ないと思われた.
(考察)single port surgeryは創は「一つ」ではあるものの臍内に2ー4cmの小開腹創を設けなければならない.臍は腹部で最も個人の個性を主張する部位であり,術後臍の変形,醜悪化は患者の意識も大きいが,筋層が薄く,段差のある臍創の形成は容易なものではない.一方は臍創を1cmと限定した当科法は臍の変形は最小限で,腹部正中の横小切開は体毛,下着の着用による,被覆,創の縮小化により腹部に皺の多い適応疾患の好発年齢の患者にとって創を意識することは少ないと思われ,single portに劣らぬ美容上の優位性があると思われる.加えて症例の適応は従来法と同等であることも特長的である.

詳細検索