演題

PO2-2

腹腔鏡下胆嚢摘出術における術後疼痛管理の検討

[演者] 岡本 信彦:1
[著者] 山藤 和夫:1, 朝見 淳規:1, 竹島 薫:1, 高木 知聡:1, 吉村 大士:1, 三毛門 佳彦:1, 窪地 淳:1
1:さいたま市立病院 外科

【はじめに】腹腔鏡下手術においては,術後疼痛が少なく早期離床が可能とされている.しかし,術後疼痛管理の方法に関しては一定の見解がなく,硬膜外麻酔の有用性も明らかでない.【目的】腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した患者における,術後ベースライン鎮痛としての硬膜外麻酔と末梢神経ブロックである腹直筋鞘ブロックを比較すること.【対象と方法】2015年1月から12月に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した83名のうち,術後ベースライン鎮痛として硬膜外麻酔を使用した49名(E群)と腹直筋鞘ブロックを使用した34名(R群)に関し,患者背景,術前胆嚢炎の有無と治療,手術時間,術後点滴および内服での追加鎮痛薬使用回数,食事開始,術後嘔気・嘔吐(PONV),尿閉の有無,心血管合併症,硬膜麻酔の中止の有無,術後在院期間を,またE群ではフェンタニルの有無別にも同様に検討した.【結果】年齢,性別,BMI,ASA-PS,急性胆嚢炎の有無,術前ドレナージの有無に差はなかった.手術時間はE群/R群で105/121分であったが差はなかった(p=0.14).麻酔関連時間は73/56分と有意にE群で長かった(p<0.001).術後点滴での鎮痛薬使用は平均0.4/1.3回と有意にR群で多く(p<0.001),特にE群では78%の患者が点滴鎮痛剤を要しなかったのに対し,R群で必要としなかったのは41%であった.内服での鎮痛薬使用は平均1.6/1.4回で差がなかった(p=0.43).胃管留置は原則的に行っていないが,PONVは22.4/29.4%,制吐剤使用は26.5/29.4%でいずれも差はなかった.術後1日目に経口摂取が開始できなかったのは2/1例,尿閉は1/0例で,心血管合併症はいずれの群でもなかった.術後在院期間の中央値はいずれも4日で差はなかった.E群で,フェンタニルの有無別に検討すると,点滴鎮痛は(+)/(-)で平均0.3/0.7回,内服鎮痛は平均1.6/1.7回と差はなかった.PONVは23.5%/20%,制吐剤使用は29.4/20%で差はなかったが,PONVで硬膜外麻酔を中止した症例がフェンタニル群で1例あった.【考察・結語】腹腔鏡下胆嚢摘出術において術後硬膜外麻酔は,特に術後24時間までの点滴による鎮痛剤使用を減らしたが,PONV,心血管合併症を有意に増加させず,ベースライン鎮痛として有用と考えられた.
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