演題

PO1-7

胆管走行異常を術前診断し,Critical view of safetyの確立により安全に施行し得た腹腔鏡下胆嚢摘出術の3例

[演者] 高井 昭洋:1
[著者] 田村 圭:1, 中村 太郎:1, 水本 哲也:1, 坂元 克考:1, 井上 仁:1, 小川 晃平:1, 藤山 泰二:1, 高田 泰次:1
1:愛媛大学附属病院 肝胆膵・移植外科

症例1.50歳女性.主訴は右季肋部痛.精査の結果,慢性胆嚢炎と診断され,精査加療目的で当科紹介受診した.術前のMRCPにて,右後区域胆管が総胆管に独立して合流し,この右後区域胆管に胆嚢管が合流しており,久次らの分類でI型と診断した.腹腔鏡下胆嚢摘出術(Laparoscopic cholecystectomy,以下LC)を施行し,手術時間2時間15分,出血量は少量であった.術後経過良好にて,術後4日目に退院した.症例2.51歳男性.主訴は右季肋部痛.精査の結果,胆石性胆嚢炎と診断され,精査加療目的で当科紹介受診した.術前のMRCPで胆道走行異常が疑われたが,画像が不明瞭であったため,DIC-CT検査を行ったところ,右前区域胆管が総胆管下部へと合流しており,この右前区域胆管に胆嚢管が合流していた.久次らの分類でI型と診断した.LCを施行し,手術時間2時間37分,出血量は少量であった.術後経過良好で,術後4日目に退院した.術後施行したDIC-CTにて,右前区域胆管の損傷のないことを確認した.症例3 .68歳女性.主訴は嘔吐・下痢.近医で精査の結果,胆石性胆のう炎と診断され手術予定であったが,術前のMRCPにて胆道走行異常を疑われたために,近医での手術は困難とされ,当科紹介受診した.DIC-CT検査の結果,胆嚢管に右前区域胆管が合流しており,久次らの分類でⅤ型と診断した.LCを施行し,手術時間1時間36分,出血量は少量であった.術後経過良好にて,術後3日目に退院した.術後施行したDIC-CT検査にて,右前区域胆管および総胆管と合流する胆嚢管に損傷のないことを確認した.胆嚢管や胆嚢に合流する副肝管の存在の頻度は,0.8~35%と様々な報告が見られる.これらの変異はLCにおける胆道損傷のリスクファクターとなっており,術前の画像診断が重要になる.また,手術において,今回経験した3症例では特に,胆嚢頚部から胆嚢管に向けて漿膜を剥離することを心がけ,Critical view of safety(以下,CVS)の確立を十分意識して手術を行い,またこれを確立することができた.術中所見では,通常のCalot三角部の様相とほとんど変わりがなく,胆道造影検査などを行わない限り,胆道走行異常を術中に診断することは困難であると考えられた.したがって,術前,胆道走行異常を十分に診断し得ず,もしも胆道変異があった場合でも,LCにおけるCVSの確立は,胆道損傷を回避し,安全に手術を施行するためにも重要なプロセスであると考えられた.
詳細検索