演題

PO1-5

腹腔鏡下胆嚢摘出術難易度予測における術前DIC-CTの有用性についての検討

[演者] 中沢 祥子:1
[著者] 赤松 延久:2, 三井 哲弥:1, 宮田 陽一:1, 二宮 理貴:1, 牧 章:1, 小澤 文明:1, 別宮 好文:1
1:埼玉医科大学総合医療センター 肝胆膵外科・小児外科, 2:東京大学附属病院 肝・胆・膵外科

腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)は良性胆嚢疾患においては標準術式であり,単孔式など低侵襲化が図られている一方で,炎症が高度な症例では開腹移行や胆道損傷などが問題となる.当科ではLC術前にDIC-CTにて胆管解剖を評価している.三管合流部の炎症が強い症例ではいわゆるcritical viewの描出が困難な場合が多く,開腹移行や胆管損傷の原因となることが多いが,そのような症例の術前DIC-CTでは造影剤の胆嚢への流入を認めないことが多い.そこで術前DIC-CTの所見によりLC症例の術中難易度評価が可能であると想定し検討した.
【方法】過去2年間に施行したLC症例計211例のうち,術前にDIC-CTが施行された136例を対象とし,造影剤の胆道内流入程度を,胆嚢内が均一に造影されていればGrade 0,胆嚢内に一部造影を認めるものをGrade 1,胆嚢管までの造影をGrade 2,総胆管のみ造影を認めるもの(胆嚢管同定不能)をGrade 3とし,4段階に分類した.このDIC-CT所見と術前PTGBD留置例や手術時間や術中出血量,開腹移行との関連性を検討した.
【結果】136例中,DIC-CT上 Grade 0は22例(16.2%),Grade 1は65例(47.8%),Grade 2は28例(20.6%),Grade 3は21例(15.4%)であった.術前PTGBDを要した症例は9例でGrade 0~2で各2例ずつ,Grade 3で3例あった.また,各Gradeにおける手術時間の中央値はそれぞれ90分(Grade 0),85分(Grade 1),106分(Grade 2),127分(Grade 3)であった.術中平均出血量に関しては,14ml(Grade 0),8ml(Grade 1),134ml(Grade 2),110ml(Grade 3)であり,Grade2以上になると出血量が多くなる傾向にあった.術中開腹移行は136例中5例(3.6%)で,Grade 2では2例,Grade 3では3例認めた.次にGrade0とGrade1を胆嚢描出あり群(n=87),Grade2とGrade3を胆嚢描出なし群(n=49)として比較すると,出血量(9ml vs 123ml, P=<0.001)手術時間(91分 vs 132分, P=<0.001)といずれも胆嚢描出なし群で有意に高値であり,開腹移行率も0% vs 10% (5/49)と胆嚢描出なし群で有意に高率であった(P=0.002).
【結語】術前DIC-CT スコアGrade 2以上では開腹移行率が高率であり,出血時間や術中出血量が多くなる傾向が確認された.MRCと異なり,DIC-CTにおいては造影剤の胆嚢管・胆嚢への移行をみることにより,三管合流部の炎症を予見することが可能である.術前DIC-CTは胆管解剖の把握のみならず,LC難易度を予測するうえで非常に有用であることが示唆された.
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