演題

PO1-3

腹腔鏡下胆嚢摘出術におけるハイリスク胆管走行変異の検討

[演者] 倉橋 真太郎:1
[著者] 小松 俊一郎:1, 駒屋 憲一:1, 宮地 正彦:1, 有川 卓:1, 石黒 成治:1, 齋藤 卓也:1, 松村 卓樹:1, 大澤 高陽:1, 佐野 力:1
1:愛知医科大学病院 消化器外科

【緒言】異所性肝管や副肝管は腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)時に偶発的に損傷される危険性が高い. 今までに胆管の枝振りや胆嚢管との関連性に基づいた胆管合流形態の分類ついては多数の研究があり, 中でも胆管枝が胆嚢管に合流するタイプ(Ⅴ型)が注目されてきた. しかし, Ⅴ型だけでなく種々の低位合流する胆管枝は頚部の胆嚢壁に近接して走行していることが多い. このため胆嚢管周囲の剥離時だけでなく, Calot三角から頚部の後背側を剥離する際に胆管枝を損傷しないよう細心の注意が必要である. この観点から胆嚢頚部と胆管枝の近接程度に着目して走向変異を検討した報告は見当たらない. 【目的】LCにおける手術操作部位の近傍に胆管枝が存在するかどうかという観点から胆管走向変異を見直し, その手術成績を検討する. 【方法】2015年1月から2016年11月の間に当科で施行されたLC 306例(緊急手術を含む)を対象とした. 画像診断にて胆管枝が胆嚢頚部に近接して走行するもの, または胆嚢管に合流するものをハイリスク群:A群(n=14), それ以外をB群(n=292)とし, 両群間の手術成績を比較検討した. 【結果】 LCはRouviere溝を視認した後に, 背側アプローチを主体として漿膜内層(SSI)から外れないように剥離をすすめてCritical viewを確保した. 炎症高度で剥離困難な場合はCalot三角から頚部後背側の胆嚢壁に切り込まずに腹腔鏡下胆嚢亜全摘術(LSC)を行った. 全例で術前にMRCPを施行された. A群における胆管枝の内訳は後区域枝本幹 4例(1.3%),後区域枝分枝(B6)6例(1.9%),前区域枝分枝(B5)2例(0.6%)であり,胆嚢管に合流していたものは2例(0.6%)であった.両群間で患者背景に差はなかったが, 手術時間がA群で有意に長かった(118分, 96分). GradeⅢa以上の合併症はA群1例(7.1%), B群15例(5.1%)であった. 術中胆管損傷は1例もなく, 開腹移行はB群で, 癒着が原因による1例のみであった. 【結語】LC術前にMRCPでハイリスク胆管走向変異の診断は可能であり,その存在と走行部位を把握した上で,手術時に細心の注意を払って胆嚢頚部後背側の剥離を行うことで,変異胆管の損傷を避けることができると考えられた.
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