演題

PN3-7

膵頭十二指腸切除術後肝管空腸吻合部狭窄の発生率とその治療経過

[演者] 山木 壮:1
[著者] 里井 壯平:1, 柳本 泰明:1, 山本 智久:1, 廣岡 智:1, 小坂 久:1, 小塚 雅也:1, 井上 健太郎:1, 松井 陽一:1, 權 雅憲:1
1:関西医科大学附属病院 消化器外科

はじめに
膵頭十二指腸切除術(PD)術後の肝管空腸吻合部(HJ)狭窄は,繰り返す胆管炎の原因となり,時に重篤な敗血症の原因と成り得る.今回我々は,当科におけるPD術後のHJ狭窄率・リスクファクター,またその後の治療経過を評価した.
方法
対象は2006年4月から2013年12月にPDを施行された連続342名.肝管空腸吻合は4-0または5-0のPDSによる連続縫合にて行い,胆管チューブは留置していない.術後フォロー中に,術前と比べて画像上肝内胆管の拡張を認めたものを吻合部狭窄と評価した.HJ狭窄の有無により,術前因子・手術因子を比較し,術後HJ狭窄のリスクファクターを検討した.
結果
術後HJ狭窄(再発によるものを除く)は24名(7.0%)に認めた.HJ狭窄の発生時期は,中央値で術後7ヶ月であった(2-22ヶ月).術前胆道ドレナージ率は狭窄群で有意に低率であり(狭窄群:非狭窄群 4.6%:10.3%,p=0.042),術前胆管径は狭窄群で有意に細径であったが(中央値7.5mm : 10mm p<0.001),年齢・性差・BMI・疾患の良悪性・術後膵瘻(全膵瘻・GradeB/C)・手術時間・出血量・術前胆管炎発生率には有意な差を認めなかった.
ROC曲線にて導いた術前胆管径のcut off値は8mmであり(AUC=0.739),胆管径8mm以下の患者(89名)のHJ狭窄率は16.9%(15名)であった.多変量解析では胆管径<8mmのみが独立したリスクファクターであった.(p<0.001,odds ratio:4.93,95%CI:1.96-12.11)
狭窄例で,治療を要した21名中,19名(90.5%)はダブルバルーン内視鏡にて吻合部の拡張を行い,11名にチューブステントの留置を必要としたが,10名はチューブ抜去が可能であった.ステント留置から抜去までの期間は中央値11ヶ月(1-36ヶ月),内視鏡治療回数は中央値3回(2-10回)であった.抜去後,5名は再狭窄を認めた(チューブ抜去から再狭窄まで中央値27ヶ月(7-48ヶ月)).2名は手術的に再吻合を行った.
結語
細径胆管はPD術後のHJ狭窄の独立したリスクファクターであった.狭窄症例の多くは,最終的にステントフリーとすることが可能であるが,頻回の内視鏡治療を必要とする.今後,細径胆管症例については吻合法の変更などの改善策が必要と考えられた.
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