演題

PN2-5

肝門部領域胆管癌手術における肝離断前リアルタイム残肝機能測定法の有用性に関する検討

[演者] 林 覚史:1
[著者] 後藤 邦仁:1, 江口 英利:1, 岩上 佳史:1, 山田 大作:1, 浅岡 忠史:1, 野田 剛広:1, 和田 浩志:1, 土岐 祐一郎:1, 森 正樹:1
1:大阪大学大学院医学系研究科 消化器外科学

【背景と目的】
肝門部領域胆管癌症例では肝葉切除以上の肝切除+胆道再建が基本術式となるため,残存肝容積の不足に起因する術後肝不全に最も留意しなくてはならない.そのため,肝機能の的確な把握と適切な切除範囲の決定が必要になる.従来,肝切除時には術前肝機能検査と切除予定容積から残肝機能を類推してきたが,切除前に残肝機能を定量化することは困難であった.我々はこれまで肝細胞癌症例を中心にDDG analyzer(DDG-3300,日本光電)を用いて切除予定領域の血流遮断下にICG値を測定し,術中real timeに残肝機能が予測可能と報告してきた.そこで今回は肝門部領域胆管癌症例における肝離断前血流遮断下ICG値と術後肝障害との関連性について検討した.
【対象と方法】
2015年7月~2016年11月に当科にて根治手術を施行した肝門部領域胆管癌症例のうち,術中DDG analyzerを用いた6例を対象とした.年齢の中央値は72歳(36~78歳)で,性別は男性3例/女性3例であった.術前のICG15分値は平均14%(10~21%)で,Child-Pugh分類は5/6/7点がそれぞれ4/1/1例であった.DDG analyzer肝離断前血流遮断下ICG値と術後肝障害との関連性について検討した.
【結果】
1)術式は全症例で胆道再建を伴う右葉尾状葉切除術を施行し,切除肝重量の平均値は679g(330~1090g)であった.2)肝右葉尾状葉を授動したのちに,右肝動脈および門脈右枝をクランプした状態で,ICGを静脈投与し,DDG analyzerを用いてICG-K値(残肝ICG-K値)および15分値を測定したところ,ICG-K値は平均0.126(0.091~0.151)で,全例0.05以上であった.また15分値は平均15.7%(10.4~25.5%)であった.3)DDG analyzerによる測定と同時に赤外観察カメラシステム(HEMS)を用いて肝表面を観察したところ,残肝側(肝左葉)にのみICGが分布していることが確認できた.4)全症例の術後経過はおおむね良好で,ISGLSの定義による術後肝不全の分類ではGrade A 3例,Grade B 3例でGrade Cは認めなかった.5)上記Grade A症例の中には,術前ICG15分値が21%,術中残肝ICG-K値が0.120(>0.05)と肝機能評価に乖離を認める症例もあった.
【結語】
肝門部領域胆管癌手術においてDDG analyzerを用いることで,肝離断前,血流遮断下にICG値の測定が可能であり,術式を決定する上で一つの判断材料になり得る可能性が示唆された.
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