演題

PN2-2

肝門部領域胆管癌手術症例における術前胆道ドレナージが予後に及ぼす影響

[演者] 内田 恒之:1
[著者] 杉浦 禎一:1, 岡村 行泰:1, 伊藤 貴明:1, 山本 有祐:1, 蘆田 良:1, 上坂 克彦:1
1:静岡県立静岡がんセンター 肝・胆・膵外科

背景:肝門部領域胆管癌(PHC)は閉塞性黄疸で発症することが多く,肝切除術前には胆道ドレナージ(PBD)を行うことが推奨されている.ドレナージ方法は経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)と内視鏡的胆道ドレナージ(EBD)の2つに大別されるが,PTBDによる瘻孔再発や腹膜・胸膜播種再発の可能性を考慮しEBDを行うべきとする報告が散見される.しかしながら,PTBD瘻孔再発や腹膜・胸膜播種再発が予後に寄与するかは明らかでない.
本検討では,PBDの方法による臨床病理学的因子と再発形式の相違を明らかにして生存期間を比較し,PTBD瘻孔再発や腹膜・胸膜播種再発が予後に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.
対象と方法:2002年から2014年の間に肝切除を行ったPHC187例のうち, PBDを施行したのは131例であった.PTBDを施行したPTBD群59例と,EBDのみを施行したEBD群72例に分類し比較検討した.
結果:PTBD群とEBD群において術前因子,手術因子,病理学的因子で有意差を認めた項目は,術前Hb値(中央値11.7g/dl vs. 12.5g/dl,P<0.001),手術時間(中央値711.5分 vs. 665分,P=0.029),周術期輸血(47.5% vs. 22.2%,P=0.001)であった.術後再発を89例(78%(46例) vs. 60% (43例),P=0.038)で認め,PTBD群で有意に多かった.再発部位はPTBD瘻孔再発(10%(6例) vs. 0%,P=0.007),腹膜・胸膜播種(29%(17例) vs. 13% (9例),P=0.034)がPTBD群で有意に多かった. 生存期間中央値はPTBD群瘻孔再発あり vs. PTBD群瘻孔再発なし vs. EBD群(13.4か月vs. 41.0か月vs. 46.3か月)では,PTBD群瘻孔再発ありは他2群に対し有意差は認めなかったが,EBD群に対しては不良な傾向を認めた(P=0.215,P=0.051).また,PTBD群播種再発あり vs. PTBD群播種再発なし vs. EBD群(20.7か月 vs. 45.4か月 vs. 46.3か月)では,PTBD群播種再発ありは他2群に対し有意に予後不良であった(P=0.005,P<0.001).
結語:PBDを要したPHC手術症例において,PTBD群ではEBD群と比較し瘻孔再発,腹膜・胸膜播種再発を有意に多く認めた.また,PTBD群で瘻孔再発もしくは腹膜・胸膜播種再発をきたした症例はEBD群と比較して予後不良であり,閉塞性黄疸を伴うPHC手術症例に対するPBDとしてはEBDを第一選択とするのが望ましい.
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