演題

PN2-1

当科における肝門部領域胆管癌の手術成績

[演者] 遠藤 裕平:1
[著者] 渡部 文昭:1, 兼田 裕司:1, 齊藤 正昭:1, 辻仲 眞康:1, 宮倉 安幸:1, 清崎 浩一:1, 野田 弘志:1, 力山 敏樹:1
1:自治医科大学附属さいたま医療センター 一般・消化器外科

(はじめに)肝門部領域胆管癌の治療においてはR0切除率の向上と,時に致死的となる肝不全をはじめとする合併症の低減のstrategyの構築が重要である.当科では根治性追求のために①減黄前MDCTを主軸とする正確な癌進展範囲の評価②肝門部脈管,膵頭十二指腸の合併切除付加を行い,また,合併症の低減のため③ICG検査とCT volumetryを用いた肝予備能の厳重な評価④予定残肝領域の選択的胆道ドレナージによる十分な減黄と門脈塞栓(PTPE)を用いた残肝機能改善⑤術前術後の胆汁還元による腸肝循環維持⑥術後早期からの積極的経腸栄養による腸管免疫能保持,等の取り組みを行ってきた.(目的)当科における肝2区域以上の肝切除を伴う肝門部領域胆管癌に対する短期成績を検討し,取り組みの妥当性と課題を検討する.(対象と方法)2012年4月から2016年11月までに当科で施行した肝2区域以上の肝切除を伴う肝門部領域胆管癌38例.施行術式の詳細とR0切除率,術後合併症,肝機能の推移を後ろ向きに検証した.(結果)男:女=23:15.年齢の中央値70(49-83)歳.減黄前にMDCT検査を施行できたのは34例(89.5%).術前ICG15分値(中央値9.5%;3-28%)とCT volumetryから予測残肝機能を算出し(残肝volume中央値45.9%;31-73%),術式を決定.術前減黄は30例(78.9%)に施行,減黄法はENBD:ERBD:PTCD=28:1:1.PTPEは19例(50%)に施行.術式は全例尾状葉切除を含む肝2区域以上の肝切除を施行(右葉系21例,左葉系15例,中央系2例).膵頭十二指腸切除付加は5例,門脈やIVCなどの脈管合併切除再建は10例.手術時間中央値は550(377-719)分.術前後の胆汁還元は29例(76.3%),経腸栄養は全例で術後1,2日目に開始,継続した.(結果)断端陽性は5例(そのうち上皮内進展1例)で,R0切除率は86.8%.断端陽性例5例のうち1例が肺転移再発.合併症は21例(55.3%)に発生,Clavian-Dindo(CD)分類IIIa以上は9例(23.7%).総ビリルビン値が10.0mg/dl以上となった肝不全の発生は2例(5.3%).入院期間中央値は28日.術後90日以内の周術期関連死亡なし.3年無再発生存率は61.0%,重症術後合併症の有無で比較すると合併症なし+CD分類 I+II vs III : 65.4% vs 41.2% (P=0.03)で,有意に重症術後合併症発生症例が不良.(まとめ)当科の肝門部領域胆管癌の周術期治療成績は概ね良好.重症術後合併症の有無が3年無再発生存率に寄与する可能性があり,この低減が肝門部領域癌治療成績のさらなる向上に肝要.
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