演題

PM3-7

抗血栓療法中の急性胆嚢炎に対する早期腹腔鏡手術の検討

[演者] 吉田 信:1
[著者] 諸星 直輝:1, 浅沼 和樹:1, 高梨 節二:1, 樫山 基矢:1, 河島 秀昭:1, 石後岡 正弘:1
1:勤医協中央病院 外科

【緒言】高齢化社会を迎え基礎疾患に心脳血管疾患を抱え,抗血栓療法を受けている患者が増加している.通常の待機手術では病態により抗血栓療法の一時休止が可能であるが,急性胆嚢炎診療ではそのような症例で早期手術を行うべきか,保存的治療のうえ待機手術に回すべきか判断が迷うことがある.中等症以上で経皮的ドレナージを選択することも観血的処置であり治療の選択枝が限られることもあり,当院では全身麻酔が可能であれば積極的な早期手術を第一選択としている.【目的】抗血栓療法中の急性胆嚢炎に対して早期手術,抗血栓薬投与下での腹腔鏡手術の妥当性を検討する.【対象と方法】2014~2016年の3年間で急性胆嚢炎に対する早期腹腔鏡手術は89例,うち胆管切石を伴う8例を除く81例.抗血栓療法中の治療群(A群)27例と非治療群(B群)54例と比較して周術期での諸因子を検討した.【結果】全症例の内訳は,男性52例,女性29例で平均年齢は70.8歳(27~94歳),重症度別では軽症54例,中等症23例,重症4例.抗血小板療法の投与薬の内訳は,アスピリン13例(最多),クロピドグレル6例,シロスタゾール4例,ワーファリンカリウム4例,新規抗凝固薬2例(重複あり)で,二剤併用は9例.A群,B群の比較では,患者背景として年齢は平均75.2歳,68.6歳とA群で高齢者が多く,併存症は心血管・脳血管障害や糖尿病がA群で多かった.重症度は軽症17例,37例,中等症8例,15例で両群に差はなく,手術時間も平均103.2分,98.6分と差はなかった.出血量は65.7g,17.1gとA群で優位に多かった(P<0.05)が,周術期の輸血は不要であり許容できる範囲であった.術後合併症はA群で胆汁漏,胆管結石の2例(7.4%),B群で腹腔内膿瘍,出血の2例(3.7%).A群で術中も含めて出血性合併症は認めなかった.術後在院日数は平均6.6日,6.4日と両群に差はなくA群の治療成績はB群と同様に良好であった.【結論】抗血栓療法中であっても周術期に明らかな出血性合併症を起こすことなく安全に手術を行うことができる.このような症例の急性胆嚢炎に対する早期手術としての腹腔鏡下胆嚢摘出は妥当である.
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