演題

PM3-6

抗血栓薬の急性胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術への影響

[演者] 井上 雅史:1
[著者] 三隅 俊博:1, 清水 亘:1, 伊禮 俊充:1, 尾上 隆司:1, 鈴木 崇久:1, 首藤 毅:1, 清水 洋祐:1, 檜井 孝夫:1, 田代 裕尊:1
1:呉医療センター・中国がんセンター 外科

【はじめに】急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2013(TG13)により,急性胆嚢炎の第一選択の治療は早期または緊急胆嚢摘出術で,できるだけ腹腔鏡下胆嚢摘出術が望ましいとされる.一方で,TG13において抗血栓薬内服症例に対する対応についての記載はない.今回われわれは,抗血栓薬内服中の急性胆嚢炎症例に対する緊急腹腔鏡下胆嚢摘出術への影響を検討したので報告する.【対象と方法】2010年1月より2016年11月までの期間中に当院で急性胆嚢炎と診断され,早期腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した93例を対象とし,その背景因子(年齢,性別,急性胆嚢炎の重症度,ASAスコア),周術期因子(手術時間,術中出血量,術中赤血球輸血率,開腹移行率,術後合併症),在院日数について比較,検討した.【結果】抗血栓薬内服症例は22例,非内服症例は68例であった.抗血栓薬の内訳はバイアスピリン10例,エリキュース4例,ブラビックス3例,ワーファリン2例,アンプラーグ2例,イグザレルト,プラザキサ,プレタール1例であった.患者背景では,性別,重症度に有意差は認めなかった.抗血栓薬内服群は高齢(76.5±12.5歳vs67.3±16.3歳, P=0.019),高ASAスコア(2.6±0.5vs2.3±0.6, P=0.033)の症例が多かった.周術期因子では手術時間(145.0±57.9分vs126.2±48.8分, P=0.111),術中出血量(157.7±272.6mlvs111.9±228.0ml, P=0.066),輸血率(9.1%vs2.9%, P=0.250),開腹移行率(4.5%vs4.4%, P=0.681)に有意差は認めなかった.術中出血100ml以上リスク因子の多変量解析で有意なものは重症度(P=0.005 )のみで年齢,抗血栓薬内服,ASAスコアに有意差はなかった.抗血栓薬別の出血量はバイアスピリン195.5±343.1(0-1200)ml,エリキュース75.0±86.6(0-200)ml,ブラビックス16.7±15.3(0-30)ml,ワーファリン410.0±339.4(170-650)ml,アンプラーグ75.0±35.6(50-100)ml,イグザレルト200ml,プラザキサ0ml,プレタール100mlであった.術後出血・血栓性合併症は非内服群で2例(皮下血腫,門脈血栓の各1例)が認められたが内服群では認められなかった.在院日数(13.6±11.8vs13.4±14.4 P=0.588)に有意差を認めなかった.【結語】抗凝固薬内服中の急性胆嚢炎における早期腹腔鏡下胆嚢摘出術では,抗凝固薬の種類や胆嚢炎の重症度を念頭に置き準備と対策をすることで非内服群と同様に施行可能と考えられた.
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