演題

PM3-4

高齢者急性胆嚢炎に対するガイドラインに基づく早期手術の妥当性

[演者] 長尾 知哉:1
[著者] 室田 千晶:1, 城田 誠:1, 斉藤 琢巳:1, 木村 雅美:1, 紀野 泰久:1, 小谷 裕美:1
1:札幌徳洲会病院

「はじめに」急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン(TG13)では重症度に応じて治療方針が示され,軽症では早期の腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)が推奨,中等症でも早期LCを検討すべきとされた.しかし,高齢者は併存症や全身状態などから一律に適応可能か判断が難しい.当院での手術例から高齢者に対するTG13の妥当性を検討した.「対象と方法」2011年1月から2015年12月までの急性胆嚢炎手術489例中,75歳以上は101例であった.うち総胆管結石併発で術前胆道ドレナージ実施例を除く59例をTG13導入の2013年4月で前後期に分類し検討を行った.重症度はTG13に準拠した.「結果」59例の平均年齢は82.0歳,前期21例,後期38例.TG13導入前後の検討では,早期手術は前期9例,後期24例と導入後に増加したが有意差を認めなかった.重症度に有意差は認めなかったが,ASA-PS高値は後期で有意に多かった.出血量,手術時間に有意差を認めなかった.在院日数は前期26.9日に比べ後期22.7日と短縮したが有意差を認めなかった.術中総胆管損傷は後期早期手術2例,術後死亡は前期3例に認め,死亡例はいずれも穿孔例であった.59例中26例に抗凝固薬が使用されていた.前期は中止後手術としていたが,後期になり継続のまま早期手術の方針とした.後期早期手術例の抗凝固薬使用有無で検討した.出血量,手術時間,在院日数はいずれも使用群で増加したが有意差を認めなかった.「考察」TG13では早期LCは軽症例で推奨,中等症は検討すべきとされているが,当院では重症例も含め可能な限り早期LCの方針としている.TG13導入後の症例で平均年齢が上がりASA-PS不良例が有意に増加したが,死亡例はなく在院日数も減少したことから,早期の外科的介入は妥当なものと考えられた.また,抗凝固薬使用例で有意な有害事象の増加を認めなかったことから,中止に伴う周術期心血管系イベントなどのリスクを勘案すると,継続での早期手術は妥当と考えられた.しかし,総胆管損傷は後期早期手術に認めたことから,LCにこだわらず術中の開腹移行への判断が重要である.
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