演題

PM3-1

80歳以上高齢者急性胆嚢炎手術症例の検討

[演者] 沢 秀博:1
[著者] 阿部 智喜:1, 小濱 拓也:1, 浦出 剛史:1, 村田 晃一:1, 御井 保彦:1, 万井 真理子:1, 岩谷 慶照:1, 黒田 大介:1
1:北播磨総合医療センター

【はじめに】
腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)は胆石症に対する標準術式であり,高齢者に対しても安全性は認められている.急性胆嚢炎治療の診療ガイドライン(TG13)では,発症後,72時間以内の早期LCが推奨されているが,緊急手術の場合,高齢者では主要臓器機能の低下や併存疾患の把握が困難であり,周術期管理に難渋することがある.当院では,高齢者急性胆嚢炎患者に対し全身麻酔が可能であれば,可及的早期にLCを施行している.
【方法】
2013年10月から2016年9月までの間にLCを325例に施行している.そのうち急性胆嚢炎に対し,早期LCを施行したのは76例であった.このうち80歳以上の高齢者は23例(平均年齢86歳,男性14例,女性9例,TG13:Grade I:Grade II: Grade III 10 : 11 : 2)であり,80歳以下の非高齢者53例(平均年齢64歳,男性31例,女性22例,TG13:Grade I:Grade II: Grade III 44 : 9 : 0)と比較し,LCの有用性を検討した.
【結果】非高齢者の受診動機としては腹痛が85%であったが,高齢者では61%であり,嘔気や発熱で診断されることもあった.既往歴として,高血圧,糖尿病,脳梗塞などは,非高齢者35例(66%),高齢者17例(74%)に認めた.
症状出現から手術までの期間は,非高齢者の2.5日に対し,高齢者では4.1日で有意差を認めた.手術前の血液検査では,高齢者においてBUN,CRPの有意な増加,ヘモグロビンの有意な低下,凝固系に有意な延長を認めた.
手術時間は非高齢者132分,高齢者137分,出血量は非高齢者39ml,高齢者82mlで差を認めなかった.術前より貧血を認めていた高齢者2例に術中輸血を施行した.
両群とも,胆管損傷,開腹移行例はなかった.
術後合併症は,非高齢者3例(6%),高齢者6例(26%)に認めた.全体では,胆汁漏は2例(2.6%)に認めたが,2例ともENBDチューブ留置などの保存的加療で改善した.特に高齢者おいては呼吸器合併症を3例に認め,そのうち1例は重症肺炎よりARDSとなり術後26日目に死亡した.
【結語】今回の検討より,高齢者急性胆嚢炎患者に可能であれば,早期LCは有用と思われた.また,高齢者では,術前より貧血があり,凝固系も延長しているため,手術に際し出血のコントロールが重要であり,術後は呼吸器合併症に注意が必要と考えられた.
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