演題

PL3-7

当院で経験した膵腺扁平上皮癌10例の臨床病理学的検討

[演者] 小野 龍宣:1
[著者] 小林 慎二郎:1, 勝又 健太:1, 瀬上 航平:1, 星野 博之:1, 片山 真史:1, 小泉 哲:1, 有泉 泰:2, 高木 正之:2, 大坪 毅人:1
1:聖マリアンナ医科大学病院 消化器・一般外科, 2:聖マリアンナ医科大学病院 病理診断科

膵腺扁平上皮癌とは,腺癌成分と扁平上皮癌成分が混在して見られるもので,扁平上皮癌成分が腫瘍全体の30%以上存在するものと定義されている.発生頻度は膵癌全体の約2%と比較的まれな疾患である.当院ではこれまでに10例の腺扁平上皮癌を経験したので臨床像,画像所見,切除標本病理組織学的所見,予後因子について検討した.男女比は7:3で男性に多く,平均年齢は72.4歳で比較的高齢者に発生していた.腫瘍の局在は頭部が6例,体尾部が4例と,頭部に多く,平均腫瘍径は41.4mmであったが,10例中4例は50mm以上の大きな腫瘍であった.CT所見では腺扁平上皮癌に特徴的とされるcystic compornentは10例中5例にのみしか認めなかった.また,通常型膵癌よりもやや強い造影効果を認めると言われているが,この所見も5例でしか認めなかった.病理組織学的所見では,扁平上皮癌成分は40%から最大60%を占めていた.浸潤様式はαが1例,βが4例,γが5例であった.また,全例において,腺癌の染色マーカーであるCK7に対する染色性が維持されているとともに,CK14に陽性を示す細胞も発現していた.10例のうち1例がstageⅡであり,その他の9例は全てstageⅢ以上の進行癌であった(StageⅢが5例,Ⅳaが2例,Ⅳbが2例).手術治療を行った9例のうち,予後が追えた7例の中で6例は,術後6ヶ月以内に再発していた.再発部位は肝臓が5例で最も多かった.一方,3例は2年以上の生存をしていた.膵腺扁平上皮癌は比較的まれな疾患である.今回,我々は当院で経験した膵腺扁平上皮癌の10例について臨床病理学的検討を行った.臨床像は既報告と相違はなかったが,画像所見の特徴とされる所見の発現はそれほど多くはないため,術前診断がつきにくいと考えられた.予後不良といわれているが,比較的長期生存例も経験している.有効な化学療法が確立していないので,早期発見し早期に手術を行うことが唯一の長期生存を目指せる治療と考えている.当院での症例検討と若干の文献的考察を加えて報告する.
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