演題

PL3-6

膵腺扁平上皮癌の臨床病理学的検討:腺癌および扁平上皮癌成分の増殖能が浸潤,転移に及ぼす影響について

[演者] 星本 相淳:1
[著者] 菱沼 正一:1, 石井 智貴:1, 白川 博文:1, 富川 盛啓:1, 尾澤 巌:1, 尾形 佳郎:1
1:栃木県立がんセンター 消化器外科

【目的】膵腺扁平上皮癌(ASCP)は他の腺上皮に発生する腺扁平上皮癌同様,予後不良と報告され,その原因として扁平上皮癌成分の高い生物学的悪性度を指摘する報告が見られるが,そのメカニズムはいまだ明らかでない.
【方法】2004年から2016年8月までに当科で切除した浸潤性膵管癌176例を対象に,組織学的にASCPと診断された11例(6.3%)の臨床病理学的特徴を,他の155例の膵腺癌(ACP)と比較検討した.また,ASCP症例について免疫組織学的検討を行い,腺癌(AC)および扁平上皮癌成分(SCC)のKi-67 indexと各成分の構成比,脈管浸潤,リンパ節転移などとの関連について検討を行った.
【結果】ASCPとACPとの比較では,臨床病理学的因子,生存期間に差を認めなかったが,初回再発部位についてASCPで有意に高率に肝転移を認めた(100% vs. 48%, P = 0.013).ASCP例の組織学的検討では,原発巣におけるSCC成分の割合は30-95%で,未分化癌成分が腫瘍の60%を占めた1例を除く10例のうち7例はSCC成分,3例はAC成分が優位であった.Ki-67 index はSCC成分においてAC成分よりも優位に高値であったが(P=0.024),SCC成分の割合と同部におけるKi-67 indexに相関は認めなかった(P=0.837).SCC優位7例中6例がKi-67 indexがSCC成分で高値であり,6例が腫瘍先進部,7例が脈管浸潤部でSCC優位であった.一方,AC優位3例中2例がKi-67 indexがAC成分で高値であり,腫瘍先進部,脈管浸潤で2例がAC優位であった.リンパ節転移陽性例のうち未分化癌優位の1例除く9例は全例,リンパ節転移の95-100%がSCCあるいはACの単一の成分で構成されていた(SCC 5例,AC 4例).このうち,原発巣,腫瘍先進部,脈管浸潤における優位な成分とリンパ節転移の成分が一致した症例はそれぞれ7, 8, 7例であったが,Ki-67 index高値の成分と一致した症例は5例にとどまった.
【結語】ASCPはACPに比して優位に高率に肝転移を認めたが,その他の臨床病理学的因子,予後についてACPと差を認めなかった.ASCPにおいてSCC成分は高い増殖能を示したが,浸潤能についてはSCC成分,AC成分のどちらが寄与しているかは個々の症例により異なる可能性が示唆された.また,リンパ節転移の構成成分と原発巣における増殖能の一致率は低く(56%),腫瘍先進部の構成成分と高率に一致したことから(89%),各成分の増殖能以外の因子がASCPの転移に関与している可能性が示唆された.
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