演題
PL3-5
Resectable膵癌における早期再発因子の検討 |
【はじめに】近年,Borderline resectable 膵癌(BR膵癌)に関しては術前化学療法(NAC)が提唱されている.一方でresectable膵癌に対しては外科的切除が先行されることが多いが,しばしば,早期再発症例を経験する.これらの症例に関しては生物学的悪性度が高いと考えられ,術前治療の適応と考えられる.その為,resectable膵癌における早期再発因子を臨床病理学的に検索することとした.
【対象・方法】2008年1月から2016年6月まで,教室で根治切除を施行した膵癌73例のうち,術前画像にてresectable膵癌と診断した61例を対象とした.そのうち半年以内に再発を認めた症例を早期再発群(17例),それ以外を対照群(44例)とし,病理学的因子,腫瘍マーカー,各種生化学検査について,単変量,多変量解析を用いて検討した.
【結果】
全体の術式はDP:20例/PD(PPPD, SSPPD含む):39例/TP:2例,病期はStage0:1例/I:2例/II:2例/III:29例/IVa:20例/IVb:7例であった.R1切除は7例であり,早期再発群:2例(11.8%),対照群:5例(11.4%)で差を認めなかった.術後補助化学療法は早期再発群では全症例で,対照群では38例(86.4%)で受けていた.無再発生存期間及び全生存期間はそれぞれ早期再発群 vs. 対照群;3.7か月 vs. 16.0か月,9.7か月vs.24.7か月であった.単変量解析では腫瘍径25mm以上(P=0.0036),後方浸潤(P=0.04),門脈浸潤(P=0.0028),動脈浸潤(P=0.0147),神経叢浸潤(P=0.014),リンパ節転移陽性(0.024)で早期再発と関連を認めた.これらの因子を用いた多変量解析では門脈浸潤,神経叢浸潤,リンパ節転移陽性が独立した関連因子であった.これらの因子と術前画像診断を比較したところ,門脈及び神経叢浸潤は80%以上の正診率であったが,リンパ節転移の正診率に関しては61%であった.
【考察】門脈浸潤,神経叢浸潤,リンパ節転移陽性はresectable膵癌の早期再発の高リスクであり,術前化学療法の適応と考えられた.また,門脈浸潤,神経叢浸潤は術前画像により診断可能であるが,リンパ節転移については今後の検討が必要である.
【対象・方法】2008年1月から2016年6月まで,教室で根治切除を施行した膵癌73例のうち,術前画像にてresectable膵癌と診断した61例を対象とした.そのうち半年以内に再発を認めた症例を早期再発群(17例),それ以外を対照群(44例)とし,病理学的因子,腫瘍マーカー,各種生化学検査について,単変量,多変量解析を用いて検討した.
【結果】
全体の術式はDP:20例/PD(PPPD, SSPPD含む):39例/TP:2例,病期はStage0:1例/I:2例/II:2例/III:29例/IVa:20例/IVb:7例であった.R1切除は7例であり,早期再発群:2例(11.8%),対照群:5例(11.4%)で差を認めなかった.術後補助化学療法は早期再発群では全症例で,対照群では38例(86.4%)で受けていた.無再発生存期間及び全生存期間はそれぞれ早期再発群 vs. 対照群;3.7か月 vs. 16.0か月,9.7か月vs.24.7か月であった.単変量解析では腫瘍径25mm以上(P=0.0036),後方浸潤(P=0.04),門脈浸潤(P=0.0028),動脈浸潤(P=0.0147),神経叢浸潤(P=0.014),リンパ節転移陽性(0.024)で早期再発と関連を認めた.これらの因子を用いた多変量解析では門脈浸潤,神経叢浸潤,リンパ節転移陽性が独立した関連因子であった.これらの因子と術前画像診断を比較したところ,門脈及び神経叢浸潤は80%以上の正診率であったが,リンパ節転移の正診率に関しては61%であった.
【考察】門脈浸潤,神経叢浸潤,リンパ節転移陽性はresectable膵癌の早期再発の高リスクであり,術前化学療法の適応と考えられた.また,門脈浸潤,神経叢浸潤は術前画像により診断可能であるが,リンパ節転移については今後の検討が必要である.