演題

PL3-1

Borderline resectable膵癌(BRPC-A)に対する術前治療後の動脈周囲軟部影の画像及び病理学的検討

[演者] 加藤 吉康:1
[著者] 杉浦 禎一:1, 岡村 行泰:1, 伊藤 貴明:1, 山本 有祐:1, 蘆田 良:1, 大木 克久:1, 山田 美保子:1, 上坂 克彦:1
1:静岡県立静岡がんセンター 肝・胆・膵外科

目的:膵癌取扱い規約第7版において,主要動脈への接触があるものはBR-Aとされる.今回,当院で経験したBR-A症例において,術前治療後の動脈周囲軟部影の画像及び病理学的な検討を行った.
対象と方法:2012年7月から2016年9月までの間に,現行規約でBR-Aにあたり術前治療後に切除を行った22例を対象とした.腫瘍マーカーや画像所見の変化,剥離面(dpm)の病理学的な評価,放射線治療(RT)の有無による画像変化の違いについて検討した.動脈周囲軟部影は,動脈との接触角度,軟部影の平均CT値を用いて客観的に評価した.
結果:22例の年齢中央値は67歳で,膵頭部癌は17例,膵体部癌は5例であり,PDが18例に,DPが4例に施行された.原発腫瘍径中央値は27mm(range 18-35),接触する主要動脈はCHAが3例,SMAが19例,腹腔動脈が2例であった(重複あり).術前治療の内訳は,S1+ RTが17例,GEM+RTが1例,GEM+NPが3例,FOLFIRINOXが1例であり,術前治療期間は中央値6週(range 6-76)であった.
腫瘍マーカーの変化は,術前治療前後でCEA(中央値3.7ng/ml〔range 1.3-26.2〕→中央値2.4〔range 0.9-12.1〕,P<0.01),CA19-9(中央値61U/ml〔range 2-1650〕→中央値17〔range 2-403〕,P<0.01)ともにそれぞれ有意に低下した.PET-CTにおける原発巣のSUV-maxも有意に低下していた(中央値6.7〔range 2.0-11.8〕→中央値2.6〔range1.2-5.0〕,P<0.001).しかし,術前治療後に軟部影が動脈と接触しなくなったのは1例のみ(4.5%)であった.軟部影と動脈との接触角度は,術前治療前後で中央値90°(range 35-330)→中央値120°(range 0-360)となり有意差を認めなかった(P=0.872).軟部影の平均CT値は,術前治療前後で中央値67.8(range 40.5-122.2)→中央値64.2(range 3.2-108.8)となり有意差を認めなかった(P=0.065).
術後病理組織診断でdpm1は2例に認め,1例はSMA marginで,もう1例はposterior margin(左腎静脈との剥離面)であり,R0切除率は90.9%であった.
最後にRT群(18例)とnon-RT群(4例)の比較検討を行った.軟部影の接触角度(P=0.33),CT値(P=0.25)とも,両群の間に術前治療前後での変化に有意な差はみられなかった.
結語:BR-A膵癌に対する術前治療後,軟部影の主要動脈への接触の解除は4.5%のみに認めたが,R0切除は90.9%に達成できた.術前治療後に残存する軟部影にとらわれることなく切除を行うべきと考えられた.RTの有無は軟部影の変化と関係はみられなかった.
詳細検索