演題

PL2-5

「いわゆる胆嚢癌肉腫」の1例

[演者] 坂本 敏哉:1
[著者] 川本 潤:1, 西田 孝宏:1, 高柳 良介:2, 岩屋 啓一:3
1:佐々木研究所附属杏雲堂病院 外科, 2:千葉大学附属病院 肝胆膵外科, 3:佐々木研究所附属杏雲堂病院

症例は75歳男性.胸部大動脈瘤フォロー中にCTにて肝腫瘤指摘.腹部造影CT上,肝S45に胆嚢と連続するように存在するに6cm大の造影効果のある腫瘤を認めた.エコー下生検では典型的な癌の所見ではなく,癌肉腫を疑う生検結果であった.腹部血管造影では肝動脈への浸潤は認めず,胆管直接造影・胆管腔内超音波・胆道内視鏡検査では総胆管への癌進展所見は認めず,PET-CTでは遠隔転移を疑う所見はなかった.以上より,胆嚢癌肉腫疑いの診断で,肝中央下区域切除+肝外胆管切除+胆管空腸吻合術を施行した.
病理組織学的所見では,肝床部側の胆嚢壁に不整な腺管構造を形成し,肝組織に直接浸潤増殖していた.免疫染色では,腺管形成部分では上皮系マーカー(AE1/AE3)陽性,連続する肉腫成分では個々ばらばらな紡錘形の細胞が間葉系マーカー(Vimentin)陽性で,その両者の移行部の紡錘形細胞は一部上皮系マーカーが陽性であり,「いわゆる癌肉腫」の所見であった.病理診断は,切除断端陰性,PV0,A0,ly0,v1,ne0,T3aN0M0 pStageⅢAであり,病理学的にも完全切除が可能であった.術後合併症などは認めず,順調に退院された.
癌肉腫とは,同一腫瘍内に上皮系細胞由来の癌と間葉系細胞由来の肉腫が混在している腫瘍を指す.発生には諸説あり,見解の一致は得られていない.「真の癌肉腫」と「いわゆる癌肉腫」に分類される.「真の癌肉腫」の診断条件として,①癌腫と肉腫の間に移行像がないこと,②免疫染色で肉腫様成分が間葉系マーカー陽性で,上皮系マーカー陰性であること,が条件となる.当症例は上記のように移行像を認め,その肉腫様細胞の一部が上皮系マーカー陽性であり,「いわゆる癌肉腫」であった.
胆嚢癌肉腫は,比較的希な疾患であり,医学中央雑誌で2000年から2015年の間で検索すると33例の報告のみで,「真の癌肉腫」10例,「いわゆる癌肉腫」23例であった.うち手術症例は31例で,16例で再発を認めている.再発は肝転移が多く,ほとんどが術後早期に再発している.また,死亡時期の明記されている症例では,ほとんどが1年以内に死亡しており,予後の悪い疾患と言える.
胆嚢癌肉腫は,比較的まれな疾患であり,進行も早く術後も早期再発が多い予後不良の疾患である.今回我々は術前より胆嚢癌肉腫の診断がつき,また病理学的に完全切除が可能であり,長期予後が期待できる胆嚢癌肉腫の1例を経験したので,若干の文献考察を加え報告する.
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