演題

PL1-2

10年という長い期間を経て増大した肝腫瘍で術後病理検査にて胆管内乳頭粘液腫の診断に至った1例

[演者] 川島 到真:1
[著者] 西村 隆一:1, 小山田 尚:1, 宮崎 修吉:1
1:岩手県立中部病院 外科

症例は63歳男性.2003年,検診で肝S2に20mm大の腫瘤性病変を指摘され当院消化器内科を受診したHemangioma疑いとして経過観察となったが,25mm(2005年),31mm(2007年),40mm(2009年)と徐々に増大傾向を示した.その後通院を自己中断していたが,2013年12月に腹部膨満感のため近医を受診し,腹部エコー検査で80mm大の肝腫瘍を指摘され当院消化器内科へ紹介となった.
血液検査に特筆すべき異常なく,Child-Pugh分類 A,肝障害度 Aであった.HBs抗原(-),HBs抗体(+),HCV抗体(-)であり,腫瘍マーカーはCEA,CA19-9,AFP,PIVKA-Ⅱのすべてが正常範囲内であった.
CT検査で肝左葉に80mm大の境界明瞭平滑な充実性腫瘍を認め,内部は不均一な造影効果を示すが,早期相での造影効果が強く,平衡相でwash outを認めた.また,単純およびGd-EOB-MRI検査では,T1強調像で低信号,T2強調像で高信号を示し,肝細胞造影相で低信号を示した.
腹部エコー検査では同部位に内部不均一な高エコー領域を認めた.腫瘍内部に低エコー領域を認め,腫瘍内部の壊死が疑われた.
肝細胞癌としては非典型的であり,類上皮血管内皮腫や限局性結節性過形成が考えられたが, 80mmと巨大な腫瘍であったため2014年1月に手術を施行した.腫瘍は左・中肝静脈根部に近接していたため,中肝静脈も合併切除し,肝拡大左葉切除術を施行した.
腫瘍は境界明瞭で被膜を伴わず,大きさは85x58mmであった.組織学的には好酸性の胞体を有する癌細胞が乳頭状,腺腔様構造に増殖しており,免疫染色の結果から肝内胆管癌に進展する前癌病変あるいは早期癌病変と位置づけられる胆管内乳頭粘液腫の診断となった.
胆管内乳頭粘液腫は粘液産生を示す分化度の高い腫瘍であり,進行が緩徐で多段階発癌の途中と示唆されている.側方進展が見られるが上皮内や粘膜内が多く,胆管壁を超えた浸潤が少ない.肝機能が比較的保たれる.このような理由により,外科手術後の予後は肝内胆管癌よりも良いとされる.
現在,術後2年11カ月が経過しているが,採血や画像検査からは再発を認めていない.
本症例も10年という緩やかな経過を経て増大し,手術に至った胆管内乳頭粘液腫の1例を経験したので報告する.
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