演題

PL1-1

肝浸潤及び多発肝転移を伴う進行胆嚢癌に対して化学療法後根治的切除を行い得た一例

[演者] 濵田 由紀:1
[著者] 前村 公成:1, 又木 雄弘:1, 蔵原 弘:1, 川崎 洋太:1, 橋口 真征:1, 迫田 雅彦:1, 飯野 聡:1, 新地 洋之:2, 夏越 祥次:1
1:鹿児島大学大学院 消化器・乳腺甲状腺外科学, 2:鹿児島大学大学院 保健学科

【はじめに】
局所進行や遠隔転移などを伴うIV期胆嚢癌の5年生存率は,Iva期で22.3%,IVb期に至っては6.3%と極めて不良であり,殆どが切除不能である.今回,肝浸潤と多発肝転移を伴うIV期胆嚢癌に対して化学療法を行い,著明な腫瘍径の縮小を認め,根治的切除を施行した一例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.

【症例】
59歳,女性.膀胱炎精査目的の腹部エコーで胆嚢腫瘍を指摘.精査の結果,腫瘍径は52mm大で,肝S4の局所浸潤とS4・S5に2個(15mm大・28mm大)の多発肝転移を伴うT3aN0M1(HEP)IVb期胆嚢癌と診断.化学療法としてGEM+CDDP療法3コースを施行した.化学療法後評価にて原発巣・肝転移の縮小を確認.肝S4a+5切除で転移巣を含めた根治的切除が可能と判断.肝S4a+5切除術を施行した.術後経過は良好であり,明らかな合併症を認めることもなく,8日目に退院した.
最終病理診断はTubular adenocarcinoma,pT3N1(12c)M1(HEP),pStageIVbであった.術後補助化学療法としてGEM+CDDP療法を現在行なっているが,術後2ヶ月で無再発生存中である.
【考察】
切除不能胆道癌に対する標準治療としては現在化学療法が一般的であるが,奏効率はそれぞれGEM単剤で17.5%,S-1単剤で35%,GEM+CDDPの併用療法で25%程度と報告されており十分とは言えない.しかし,近年,切除不能胆嚢癌として化学療法を実施し,腫瘍径の縮小を認め根治的切除に至った例の報告が見られるようになった.医学中央雑誌およびPubmedによる(2000年から2016年)文献検索の結果,肝浸潤もしくは肝転移を伴う進行胆嚢癌に対して化学療法を行い,切除し長期予後を得た症例を8件確認した(肝動注法を除く).
本症例は肝転移を伴う進行胆嚢癌であったが,GEM+CDDPの化学療法により原発巣の縮小を認め,肝転移の増大を認めず,肝切除負荷により根治切除可能であった.
遠隔転移を伴う胆嚢癌に対しても,遠隔転移を含めて切除を行ういわゆるconversion surgeryを念頭に置いてフォローアップを行うことが重要と思われる.
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