演題

PK3-5

内分泌腫瘍肝転移に対する治療成績と課題

[演者] 田 鍾寛:1
[著者] 森 隆太郎:1, 松山 隆生:1, 藪下 泰宏:1, 平谷 清吾:1, 澤田 雄:1, 熊本 宣文:1, 小林 規俊:2, 市川 靖史:2, 遠藤 格:1
1:横浜市立大学附属病院 消化器・肝移植外科, 2:横浜市立大学医学部 がん総合医学

【背景】神経内分泌腫瘍(NET)の多くが診断時に遠隔転移を伴い,中でも肝転移が重要な予後規定因子である.一方,NET肝転移に対する治療の第一選択は外科切除であるが,その適応や集学的治療における位置づけについてはさらなる検討が必要である.
【目的】教室におけるNET肝転移症例の治療成績を検証し,課題を明らかとする.
【方法】2000年以降に教室で治療したNET肝転移26例の臨床病理学的因子と予後についてretrospectiveに検討した.
【結果】原発巣は膵18例(69%),消化管6例(23%),肺・乳腺がそれぞれ1例(4%)で,初診時肝転移を伴っていたガストリノーマ2例,非機能性PNET1例と,化学放射線療法でCRの得られた下咽頭NECの1例以外全例原発巣を切除した.肝転移は同時性15例(58%),異時性11例(42%)で,このうち17例(65%)に肝切除を施行し,2例に複数回肝切除を施行した.切除17例の平均年齢61歳,男女比8:9で,膵原発10例(ガストリノーマ2例,非機能性8例)(59%),同時性肝転移9例(53%).腫瘍個数は平均3個,10個以上が2例で,平均腫瘍径は35mmだった.また,原発巣切除から肝転移までの期間は中央値41(0~109)ヶ月と長かった.肝転移巣のGradeは全症例で原発巣と一致していた.肝切除後12例(71%)で再発をきたし,初回再発部位は9例が残肝,2例が肺,1例が骨転移だった.再発後治療としてOctreotide 8例, 分子標的治療薬(Everolimus, sunitnib)4例, STZ 2例,化学療法2例,DOTATOC療法1例を行い,局所療法として再肝切除を含む切除4例,放射線照射2例,ラジオ波焼灼療法1例を行った.肝切除後生存期間中央値126ヶ月と良好な成績を得ている.一方,原発巣非切除3例を含む肝転移非切除9例では,Octreotide 6例, 分子標的治療薬2例,化学療法3例,DOTATOC療法1例を行い,放射線照射1例で,TACEで肝転移の完全制御が得られた1例のみ原発巣切除を行った.生存期間中央値(53か月)は肝転移切除群に比し短期間であるが比較的良好で,有意差を認めなかった.
【結語】NET肝転移に対して外科切除による生存期間延長は期待できるが根治は難しい.conversion therapyや切除後補助療法などを組み合わせた集学的治療により一層の治療成績向上を図る必要がある.
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