演題

PK3-2

非機能性膵神経内分泌腫瘍に対する臨床病理学的検討-WHO分類2010,ENETS TNM分類,AJCC/UICC TNM分類の検討

[演者] 出雲 渉:1
[著者] 樋口 亮太:1, 谷澤 武久:1, 植村 修一郎:1, 松永 雄太郎:1, 椎原 正尋:1, 山本 雅一:1
1:東京女子医科大学病院 消化器外科

目的: 神経内分泌腫瘍に対するWHO分類2010は腫瘍の増殖能力を指標としたGradeを規定し予後と相関させたことで臨床的に非常に有意義であるが,転移の要素を含んでおらず,腫瘍に対し従来広く使われていたTNM分類とは異なっている.またTNM分類としてAJCC/UICC とENETSの2つが存在するという問題点がある.本検討は,それぞれの分類を用いて非機能性膵神経内分泌腫瘍の臨床病理学的特徴を明らかにすることを目的とした.
対象と方法:2000年1月から2016年12月までに当教室で治療し病理学的に非機能性膵神経内分泌腫瘍と診断された83例を対象とし,転移,再発,予後についてWHO2010分類,ENETS TNM分類のStage, AJCC/UICC TNM分類のStageに分けてretrospectiveに検討した.
結果:外科切除は82例(99%)でR0手術は76例(92%)に行われていた.WHO2010のGradeはG1/G2/G3:62(74%)/18(22%)/3(4%),AJCC/UICC TNMのStageはⅠA/ⅠB/ⅡA/ⅡB/Ⅲ/Ⅳ:40(48%)/19(23%)/2(2%)/13(16%)/0/9(11%),ENETS TNMのStageはⅠ/Ⅱa/Ⅱb/Ⅲa/Ⅲb/Ⅳ:36(43%)/19(23%)/6(7%)/0/13(16%)/9(11%)であった.
肝転移は15例(18%)(同時性/異時性/同時性+異時性:6/8/1)で,WHO2010 G1/G2/G3:5(8%)/7(39%)/3(100%),AJCC/UICC ⅠA/ⅠB/ⅡA/ⅡB/Ⅲ/Ⅳ:1(3%)/2(11%)/0/4(31%)/0/8(89%),ENETS Ⅰ/Ⅱa/Ⅱb/Ⅲa/Ⅲb/Ⅳ:1(3%)/2(11%)/0/0/4(80%)/8(89%)で,Grade, Stageと相関関係が認められた.
リンパ節転移は19例(23%)で,WHO2010 G1/G2/G3:7(11%)/10(56%)/2(67%), AJCC/UICC ⅡB/Ⅲ/Ⅳ:13(100%)/0/6(67%),ENETSⅢb/Ⅳ:13(100%)/6(67%)で,WHO2010ではGradeと相関関係を認めた.
初回R0切除後の再発は11例(13%)で,WHO2010 G1/G2/G3:4(7%)/5(36%)/2(100%), AJCC/UICC ⅠA/ⅠB/ⅡA/ⅡB/Ⅲ/Ⅳ:2(5%)/3(16%)/0/4(31%)/0/2(100%),ENETS Ⅰ/Ⅱa/Ⅱb/Ⅲa/Ⅲb/Ⅳ:2(6%)/3(16%)/0/0/4(31%)/2(100%)で,Grade, Stageと相関関係を認めた.
予後は原病死4例(5%)でWHO2010 G1/G2/G3:0/2(11%)/2(67%)(G2 vs G3:P<0.05),AJCC/UICC ⅡB/Ⅳ:2(15%)/2(22%)(ⅡB vs Ⅳ:P=N.S),ENETS Ⅲb/Ⅳ:2(15%)/2(22%)(Ⅲb vs Ⅳ:P=N.S)で,Gradeと相関関係を認めたがStageでは有意差は認めなかった.
結語:非機能性膵神経内分泌腫瘍に対するWHO2010, AJCC/UICC TNM,ENETS TNMは肝転移,再発予測に有効であったが,リンパ節転移に関してはWHO2010の方が明瞭であり,予後予測に関してもWHO2010の方が有用である可能性が示唆された.
詳細検索