演題

PK3-1

GEP-NETにおけるPD-L1発現と臨床病理学的因子の検討

[演者] 水野 裕貴:1
[著者] 工藤 篤:1, 石川 喜也:1, 千代延 記道:1, 小野 宏晃:1, 光法 雄介:1, 松村 聡:1, 伴 大輔:1, 落合 高徳:1, 田邉 稔:1
1:東京医科歯科大学附属病院 肝胆膵外科

【目的】
T細胞上に発現するPD-1は腫瘍に発現する受容体PD-L1と結合し,腫瘍細胞がヒトの腫瘍免疫を回避することが近年明らかになっており,様々な癌種でPD-L1(Programmed Cell Death-ligand 1)の高発現が予後に相関するという報告がなされている.今回,膵消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)におけるPD-L1発現量と臨床病理学的因子との関係性の検討を目的とした.
【方法】
2008年1月から2016年9月の間に当院を受診したGEP-NET304例中,当院で切除を施行した60例を対象とし,抗PD-L1抗体を用いて免疫染色を行い,切除標本におけるPD-L1発現を評価し,臨床病理学的事項と合わせて検討を行った.
【成績】
免疫染色では,PD-L1の発現強度を腫瘍部における染色強度によって2群に分けて評価した.PD-L1は21例で陽性を示し,39例で弱陽性,または陰性であった.5年生存率はPD-L1陰性群で84.9%であったのに対し,PD-L1陽性群では60.2%であり,OS,PFSともに有意にPD-L1陽性郡が不良であった(p=0.031,p=0.042).単変量解析において,PD-L1陽性群では陰性群と比較して有意に原発巣におけるKi67indexが高く(p=0.021),最大腫瘍径が大きく(p=0.006),肝転移症例が多かった(p=0.002)が,多変量解析では肝転移の有無のみが残った(p=0.020).
そこでPD-L1発現が術後の肝転移を予測するバイオマーカーとなりうるかの検討のために,同時性肝転移のない51症例について検討したところ,術後に肝転移をきたした症例は7例で,PD-L1陽性は感度86%,特異度77%で術後の肝転移を予測しうる結果であった.
【結論】
WHO2010年分類では現在,神経内分泌腫瘍(NET)の腫瘍増殖の指標として核分裂像とKi-67指数が採用されているが,諸家の報告では肝転移が予後指標として最重要であることが知られている.しかし,腫瘍の転移能を反映するバイオマーカーは未だに報告がない.今回,肝転移をきたしやすい原発腫瘍を同定するバイオマーカーとしてPD-L1が有用である可能性が示された.PD-1を分子標的として肝転移の予防に利用する可能性については今後のさらなる症例の蓄積が重要である.
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