演題

PK2-6

膵癌におけるEUS-FNA検体を用いた免疫組織化学染色による主要3遺伝子異常の検討

[演者] 大島 稔:1
[著者] 岡野 圭一:1, 安藤 恭久:1, 須藤 広誠:1, 浅野 栄介:1, 岸野 貴賢:1, 藤原 理朗:1, 臼杵 尚志:1, 鈴木 康之:1
1:香川大学医学部 消化器外科学

背景:全遺伝子解析の結果から,浸潤性膵管癌に高頻度に認められる遺伝子異常は4つのみ(KRAS,p16, p53, SMAD4)であることが報告された(Science 2008).当教室ではこれまでに膵癌切除症例の摘出標本検体を用い,ほぼ全例で異常を認めるKRASを除いた主要3遺伝子(p16, p53, SMAD4)の異常と生物学的悪性度との関係を検討した結果,p16の異常は遠隔転移に,p53の異常は局所再発に,SMAD4の異常はリンパ節転移に相関していた.さらに,膵癌における主要な遺伝子異常の総数は,予後に強く影響していた(Oshima M, Annals of Surgery).今回,膵癌に対する初診時のEUS-FNA検体を用いて主要遺伝子異常を評価し,生物学的悪性度や予後を検討した.方法:当施設において2014年7月から2016年8月までにEUS-FNAにより病理組織学的検査を行った膵癌症例96例を対象とし,免疫組織化学染色による主要3遺伝子異常の結果と臨床データを比較検討した.
結果:膵癌96例中,切除例が37例,切除不能例が59例であった.p16,p53,SMAD4の異常はそれぞれ83.2%,69.8%,45.3%の症例に認めた.P53の異常を認める症例は,有意差をもって腫瘍径が大きく( p< 0.05),BRAもしくはUR-LAの局所進行例を多く認めた(p<0.01).NACRT後の切除例(33例)のうち,Evans分類Ⅱb以上の術前治療効果を認めた症例は13例(39.3%)であったが,主要3遺伝子異常の種類や総数に有意な特徴差は認めなかった.膵癌全例(96例)における主要3遺伝子の異常の総数と全生存期間との検討において,遺伝子異常数の多い症例は強い相関をもって予後不良であった(p<0.01).
結語:初診時のEUS-FNA検体を用いた免疫組織化学染色による検討においても,主要3遺伝子異常(p16, p53, SMAD4)の評価は生物学的悪性度や経過などを予測できる可能性があり,個別化医療を考慮した治療方針の決定に有益である.
詳細検索