演題

PK2-5

膵癌におけるKIAA1199/CEMIP/HYBIDの発現は予後不良のマーカーとなる

[演者] 古賀 敦大:1
[著者] 佐藤 典宏:1, 厚井 志郎:1, 又吉 信貴:1, 矢吹 慶:1, 柴尾 和徳:1, 平田 敬治:1
1:産業医科大学医学部 第1外科学

背景:癌の進行には癌細胞と細胞外マトリックスの相互作用が関連している. 特にヒアルロン酸の産生または分解システムの崩壊が癌の浸潤,転移において重要な役割を果たすことが示されている.最近ヒアルロン酸の分解酵素として同定されたKIAA1199(CEMIPまたはHYBID)は,さまざまな癌種において過剰発現していることが報告されている.一方,膵癌におけるKIAA1199の発現および意義に関しては不明である.今回,膵癌におけるKIAA1199の発現と化学療法の有無を含めた臨床病理学的予後因子について検討した.
方法: 定量的リアルタイムRT-PCRを用い,膵癌患者(n=14)の凍結組織中のKIAA1199mRNAの発現を調べた.さらに,免疫組織化学染色法にて,膵癌患者(n= 98)の組織におけるKIAA1199タンパクの発現を調べた.KIAA1199発現と化学療法の有無を含む臨床病理学的因子の術後生存期間との相関関係を,単変量,多変量解析を用いて分析した.また,ヒト正常膵細胞株と膵癌細胞株におけるKIAA1199mRNA発現について定量的リアルタイムRT-PCRを用い比較した.KIAA1199高発現を示した膵癌細胞株よりKIAA1199ノックダウン細胞を作製した後,マイグレーションアッセイを用いて,細胞遊走能の評価を行った.
結果:KIAA1199のmRNA発現は,すべての膵癌組織において,正常膵組織と比較し有意に高かった.免疫組織化学染色では,癌におけるKIAA1199の強発現を26人(26.5%)に認めた.全生存期間は,KIAA1199の低発現群に比べ強発現群の患者で有意に短かった(中央値:27.1ヵ月v.s.11.6ヵ月,P=0.0001).多変量解析においては,KIAA1199の強発現(ハザード比:2.404,95%信頼区間:1.349-4.258,P=0.003),UICCステージ(ハザード比:2.864,95%信頼区間:1.431-5.73,P=0.003)が予後不良を予測する独立因子であった.また,複数の膵癌細胞株(CFPAC-1,SUIT-2など)でKIAA1199mRNAの高発現を認めた.KIAA1199ノックダウン膵癌細胞株では,コントロール群に比べ有意に遊走能の低下を認めた.
結論: KIAA1199が膵癌患者の予後因子となる可能性がある.また,KIAA1199の発現は膵癌細胞の遊走能を上昇させた.
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