演題

PK2-4

膵癌腫瘍先進部における簇出およびその細胞増殖活性は独立した予後不良因子である

[演者] 滝沢 一泰:1
[著者] 小林 隆:1, 坂田 純:1, 三浦 宏平:1, 石川 博補:1, 堅田 朋大:1, 廣瀬 雄己:1, 油座 築:1, 安藤 拓也:1, 若井 俊文:1
1:新潟大学大学院 消化器・一般外科学

【背景】膵癌においては現在まで様々な予後因子が報告されている.一方で,大腸癌病理においては腫瘍先進部における簇出が注目され,上皮間質転換(EMT)との関連が示唆されている.また,簇出部ではアポトーシスおよび増殖活性がともに抑制されていると報告されている.我々は,膵癌における簇出が予後因子になり得ることを報告してきた.今回は腫瘍および簇出の細胞増殖活性を検討し治療成績にあたえる影響を検討した.【症例と方法】通常型膵癌81例を対象とした.簇出を"癌発育先進部間質に浸潤性に存在する単個から5個未満の構成細胞からなる癌胞巣と定義"し,簇出が最も高度な領域を選択して20×10倍視野で癌発育先進部の簇出個数をカウントした.簇出の検出のための抗サイトケラチン(AE1/AE3)および細胞増殖活性を検出するためのMIB-1による2重免疫染色を行った.また,EMT現象の確認のためにその連続切片においてE-CadherinおよびVimentinの免疫組織化学を行った.【結果】男性54例,女性27例で,AE1/AE3染色で確認できた簇出数は2-44個で平均15個であった.簇出を高簇出群(簇出数15個以上)と低簇出群(簇出数15個未満)に分け2群間で生存解析を行うと,高簇出群は有意に予後不良であった(χ2=9.236,p=0.002).また,腫瘍先進部におけるKi67 labeling index(LI)は中央値15.5%(IQR 6.4 -26.2%)であり,腫瘍先進部のKi67-LIは予後予測因子とはならなかった.しかし,簇出癌細胞のKi67-LIは中央値5.9%(IQR 0-11.1%)と低値であるものの,Ki67陰性群,低簇出Ki67陽性群,高簇出Ki67陽性群の3群で比較すると生存期間中央値はそれぞれ31.2か月,17.6か月,16.6か月,2年生存率はそれぞれ63.6%,46.9%,0%であり,高簇出Ki67陽性群は有意に予後不良であった(p<0.001).さらに多変量解析では高簇出Ki67陽性群(Wald 7.924,p=0.005),癌遺残度R,組織型Gradeが独立した予後因子であった.簇出のうちE-Cadherin陰性やVimentin陽性の癌細胞は認めずEMTを示唆する結果は得られなかった.【結語】通常型膵癌においては,簇出においてはその数だけでなく細胞増殖活性の有無が意義を持つ可能性が示唆された.
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