演題

進行胃癌に対する腹腔鏡下胃全摘:脾門部リンパ節郭清の適応と手技の工夫

[演者] 須田 康一:1,2
[著者] 中内 雅也:2, 宇山 一朗:2, 北川 雄光:1
1:慶應義塾大学医学部 腫瘍センター, 2:藤田保健衛生大学病院 外科

【背景】胃上部進行癌に対する脾門部リンパ節郭清および腹腔鏡下胃全摘は,技術的難易度が高く腫瘍学的長期成績が不明であり,その臨床的意義は明らかになっていない.
【目的】胃上部進行癌に対する脾門部リンパ節郭清を中心とした腹腔鏡下胃全摘の当科における手技の工夫およびその短期・長期成績について検討した.
【方法】当科で2007年から2012年の間に根治的腹腔鏡下胃全摘を施行した胃上部進行癌92例を対象とした.膵体尾部切除・脾摘を伴うD2郭清(D2+PS)を19例,脾摘を伴うD2郭清(D2+S)を32例,脾温存D2郭清(D2-S)を36例,脾および10番リンパ節温存D2郭清(D2-10)を5例行った.脾門部リンパ節郭清では,(1)膵尾部下縁における癒合筋膜前面の剥離可能層,(2)脾上極近傍左横隔膜脚前面における後腹膜下筋膜前面の剥離可能層,(3)脾動脈周囲自律神経外側の剥離可能層の3つの剥離可能層を活用して郭清深度を自在に調節した.
【成績】手術時間444(278-694)分,出血量100 (0-2267)g,郭清リンパ節個数48(16-89)個,全合併症発生率(CD grade ≧III)26.1%,手術死亡率0%,3年全生存率70.7%,3年無再発生存率60.9%であった.脾門部リンパ節郭清深度が大きくなるほど手術時間が延長し(p=0.010),膵液瘻(p<0.001)を含む術後合併症発生率(p=0.034)が増加した.
【結論】当科における胃上部進行癌に対する腹腔鏡下胃全摘は技術的・腫瘍学的に妥当である.脾門部周囲の3つの剥離可能層を活用して腫瘍学的に過不足のない脾門部リンパ節郭清深度に調節することで,腹腔鏡下胃全摘の手術時間を短縮し,術後合併症発生頻度を軽減できる可能性が示唆された.
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