演題

PK2-3

膵癌間質細胞を活性化する因子の検討

[演者] 向井 洋介:1
[著者] 山田 大作:1, 江口 英利:1, 浅岡 忠史:1, 野田 剛広:1, 和田 浩志:1, 川本 弘一:1, 後藤 邦仁:1, 森 正樹:1, 土岐 祐一郎:1
1:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅰ

【背景】膵癌は比較的早期から浸潤・転移を伴い,手術単独による根治率は低く,手術を主軸とした集学的治療の開発が求められている.膵癌が早期から浸潤・転移を伴うことについて,膵癌組織の特徴の一つに間質の著明な増生が挙げられ,この間質の中に含まれる癌関連線維芽細胞(cancer associated fibroblasts: CAFs)が大きく関与していると考えられている.当院における膵癌切除標本の検討では,CAFsの評価としてα-SMA陽性間質細胞数を検討し,CAFsの数が多く含まれる膵癌症例では有意に遠隔転移までの期間が短いことを報告してきた(median 35.4 months vs 12.0 months, p=0.019).CAFsは膵癌組織中の間質細胞が様々な刺激によって活性化することが証明されているが,臨床検体を用いた検討の報告は少ない.そこで今回,CAFsの多寡と関与しうる因子として近年報告が相次いでいるビタミンD量の評価を含めて検討し,臨床経過においてCAFsを誘導しうる因子の検討を行ったので報告する.
【対象と方法】当院における膵癌切除標本86症例(術前CRT施行52例,非施行34例)を対象とし,免疫染色によって評価したα-SMA陽性細胞数を平均値で分け,High groupとlow groupにおける臨床病理学的背景を比較した.また,術前採血にて保存していた47症例の血漿中ビタミンD濃度をELISAにて評価し,この濃度も背景因子の一つに加えた.
【結果】CAFsの多寡に有意に関わる因子としては単変量解析では術前待機時間,術前化学放射線療法の有無,血漿ビタミンD濃度が因子として残り,多変量解析では血漿ビタミンD濃度のみが有意因子であった(odds比0.26 (0.071-0.95),p=0.041).
【結語】膵癌組織中CAFsの多寡は,臨床経過における血漿ビタミンD濃度が有意に関与していた.今後これらに対する治療介入を行うことで,間質細胞の活性化を抑制し,転移を抑制して予後を改善する可能性が示された.
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