演題
PK1-6
膵癌におけるLeucine-rich alpha-2-glycoprotein-1(LRG1)の機能解析 |
【背景・目的】Leucine-rich α-2-glycoprotein-1(LRG1)は好中球と肝細胞に発現する急性炎症性蛋白であり,我々は膵癌において血清LRG値が上昇していることを報告した.LRG1は,正常内皮系細胞にてTGF-β1の存在下にSmad1シグナルを増強し血管新生を促進すること,またマウス肺癌細胞ではSmad2グナルを促進することが報告されている.そこで,膵癌におけるLRG1の機能として, TGF-β1シグナルを増強することでEMTを強く誘導するという仮説を立てこれを検証することとした.
【方法】まずヒト膵癌細胞株(AsPC1,BxPC3,MIAPaCa-2,Panc-1,SUIT-2)を用いてEnzyme-Linked ImmunoSorbent Assay(ELISA)により,LRG-1の発現を検討した.次にPanc-1にLRG1の遺伝子導入を行いLRG1の強制発現株を作成した.LRG1強制発現株とPanc-1親株,Emptyベクター導入株にTGF-β1を添加し,細胞形態の変化とWestern blotにてE-cadherin, Vimentin,Smadの発現を比較検討した.
【結果】ELISAにおいてAsPC1,BxPC3,MIAPaCa-2,Panc-1,SUIT-2の細胞上清を用いて施行したところ,いずれの細胞株においてもLRG-1の発現を認められなかった.次に,Panc-1にTGF-β1刺激を行い,Western blotにてE-cadherinの低下,Vimentinの亢進およびTGF-βシグナルの下流であるSmad2のリン酸化を確認した.LRG-1強制発現株ではTGF-β1刺激を行うことでPanc-1親株,Emptyベクター導入株と比較し,E-cadherinの減少,Vimentinの増加を認めた.さらにTGF-βシグナルの下流であるリン酸化Smad2の発現も亢進していた.またLRG-1強制発現株ではPanc-1親株,Emptyベクター導入株に比べ,TGF-β1添加により誘導されるspindle likeな形態変化をより高率で起こすことが確認された.
【結語】膵癌細胞株において,LRG1はTGF-β1によるsmad2経路を増強することでEMTの誘導を促進することが示された.
【方法】まずヒト膵癌細胞株(AsPC1,BxPC3,MIAPaCa-2,Panc-1,SUIT-2)を用いてEnzyme-Linked ImmunoSorbent Assay(ELISA)により,LRG-1の発現を検討した.次にPanc-1にLRG1の遺伝子導入を行いLRG1の強制発現株を作成した.LRG1強制発現株とPanc-1親株,Emptyベクター導入株にTGF-β1を添加し,細胞形態の変化とWestern blotにてE-cadherin, Vimentin,Smadの発現を比較検討した.
【結果】ELISAにおいてAsPC1,BxPC3,MIAPaCa-2,Panc-1,SUIT-2の細胞上清を用いて施行したところ,いずれの細胞株においてもLRG-1の発現を認められなかった.次に,Panc-1にTGF-β1刺激を行い,Western blotにてE-cadherinの低下,Vimentinの亢進およびTGF-βシグナルの下流であるSmad2のリン酸化を確認した.LRG-1強制発現株ではTGF-β1刺激を行うことでPanc-1親株,Emptyベクター導入株と比較し,E-cadherinの減少,Vimentinの増加を認めた.さらにTGF-βシグナルの下流であるリン酸化Smad2の発現も亢進していた.またLRG-1強制発現株ではPanc-1親株,Emptyベクター導入株に比べ,TGF-β1添加により誘導されるspindle likeな形態変化をより高率で起こすことが確認された.
【結語】膵癌細胞株において,LRG1はTGF-β1によるsmad2経路を増強することでEMTの誘導を促進することが示された.