演題

PK1-5

LRRFIP1発現抑制膵癌細胞におけるJNKを介したアポトーシス誘導とゲムシタビン感受性変化の検討

[演者] 川崎 修平:1,2
[著者] 大塚 英郎:1, 堂地 大輔:1, 有明 恭平:1, 益田 邦洋:1, 深瀬 耕二:1, 元井 冬彦:1, 内藤 剛:1, 海野 倫明:1
1:東北大学大学院 消化器外科学, 2:十和田市立中央病院 外科

【背景と目的】膵癌は全ての癌腫の中で5年生存率が最も低い,極めて難治性の悪性疾患である.ゲムシタビンは切除不能な局所進行膵癌や転移性膵癌に対する標準的な化学療法であるが,その奏効率は低い.膵癌におけるゲムシタビン耐性メカニズムの解明は,その治療成績向上において非常に重要であると考えられている.癌における上皮間葉形質転換 (EMT, Epithelial-mesenchymal transition) は,癌細胞の増殖,進展のほか,抗癌剤耐性に深く関与する.LRRFIP1(leucine-rich repeat flightless-1-interacting protein 1)は細胞骨格の制御に重要な蛋白質であるが,これまで我々研究グループの解析により,その発現を抑制することで Wntシグナルが阻害され,"Reverse EMT"が惹起されることが明らかとなった.EMTは癌細胞における抗癌剤耐性獲得と深い関連性を持つことから,膵癌細胞のゲムシタビン感受性におけるLRRFIP1の関与を明らかにすることを目的とした.
【方法】2種類の膵癌細胞株(PANC-1, MIA-PaCa2)を用い,SiRNAの手法を用いてLRRFIP1の発現を抑制させた.LRRFIP1発現抑制細胞におけるゲムシタビン感受性の変化をIC50値で検討し,更にアポトーシスに注目して感受性変化のメカニズムを検討した.
【結果】膵癌細胞のLRRFIP1を発現抑制させることで,ゲムシタビン投与によるJNK(c-Jun N-terminal kinase)及びc-Jun の活性化が増加し,アポトーシス誘導が亢進してゲムシタビン感受性が上昇した.LRRFIP1発現抑制細胞におけるゲムシタビン投与時のJNK 及びc-Junのリン酸化の促進が,Rac活性化阻害により著明に抑制されることから,LRRFIP1の発現抑制によるゲムシタビン感受性の制御機構にJNK/SAPK(Stress-activated protein kinase)シグナルが深く関与していると考えられた.
【考察】LRRFIP1はゲムシタビン投与時にJNK/SAPKシグナルを制御することでゲムシタビン感受性に深く関与していると考えられ,EMTによる薬剤耐性獲得メカニズムにJNK/SAPKシグナルが関与することが示唆された.
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