演題

PJ3-7

80歳以上の高齢者膵がんに対する集学的治療の意義

[演者] 西 健:1
[著者] 川畑 康成:1, 林 彦多:1, 谷浦 隆仁:1, 高井 清江:1, 田島 義証:1
1:島根大学医学部 消化器・総合外科学

【背景】近年罹患率が増加傾向にある膵がんは極めて予後不良ではあるが,集学的治療によりその予後が期待でき得る腫瘍になりつつある.さらに高齢化率が著しい本邦において,高齢者の膵がんはその管理に苦慮する疾患の一つでもある.今回,当院における高齢者膵がんに対する治療と予後を解析し,高齢者膵がん治療法の有用性について検討した.【対象と方法】2006年5月~2016年9月までに当院で治療した膵癌症例312例(年齢中央値 72歳(42-89歳)男性186例,女性126例)を対象.80歳以上を高齢群(A,n=54),80歳未満を非高齢群(B, n=258)とし,切除症例・非切除症例に分けて,治療法と予後について比較検討した.【結果】<切除症例>A群(n=16)とB群(n=107)で性別・腫瘍部位に有意差を認めなかったが,Stage III以上の比率はB群で有意に高かった(A群0% vs. B群16%,p=0.02).術後合併症(CD分類III以上)は両群間で有意差は認めず,術後補助療法の導入率はB群で有意に高かった(A群64% vs. B群89%,p=0.02).予後は両群間で有意差を認めなかった(生存期間中央値(MST,月)A群17.3 vs. B群29.6)が,術後補助療法の実施により,A群では有意差を認めなかったのに対しB群では有意に非実施例と比較して予後が良好となった.<非切除症例>A群(n=38)とB群(n=151)で,性別・腫瘍部位に有意差を認めなかった.化学療法実施率はA群74%,B群86%とB群でやや高い傾向にあるも(p=0.08),予後は両群間で有意差を認めなかった(MST,月:A群7.5 vs. B群9.1).また,両群とも,化学療法(CT)を施行することにより,有意に予後が改善していた(MST,月/A群;CT有7.7 vs. CT無3.9,p=0.02 / B群;CT有9.8 vs. CT無2.1, p<0.001).【考察】80歳以上の高齢者において,外科切除は合併症を増すことなく安全に施行可能であり,予後も80歳未満と同等に改善できることが示された.非切除症例においても化学療法を行うことで,非高齢者と同様に予後改善を期待できることが示された.以上より,80歳以上の高齢者膵がんでも積極的な治療介入は有効である.
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