演題

PJ3-4

後期高齢者に対する膵頭十二指腸切除術の安全性に関する検討

[演者] 吉川 卓郎:1
[著者] 田村 太一:1, 宗 慎一:1, 前田 哲生:1, 若原 智之:1, 金光 聖哲:1, 芦谷 博史:1, 土田 忍:1, 植野 望:1, 豊川 晃弘:1
1:淀川キリスト教病院 外科

【目的】近年の高齢化に伴い,後期高齢者においても膵頭十二指腸切除(PD)が対象となる疾患が発見される機会が増加しつつある.手術手技の向上や全身麻酔および周術期管理の進歩により手術の安全性は向上しているが,高齢者に対する手術の安全性に関する一定の見解はなく,とりわけ消化器外科領域においても高侵襲なPDの安全性は証明されていない.今回我々は後期高齢者に対するPDの安全性について検討した.【方法】2010年4月から2016 年11月までにPDを施行した60例を対象とした.後期高齢者(A群,n=21)と75歳未満(B群,n=39)の2群に分け,患者背景や手術成績などについて比較検討した.【成績】性別,原疾患などの患者背景には両群間に差はなかった.悪性疾患がA群で19例, B群で13例を占め,膵癌はそれぞれ8例および22例であった.既往症としては,心疾患や脳血管疾患などに差はなく,ASA class IIおよびIIIはA群で10例,2例,B群で17例,5例と差はなかった.また,術前の血清総蛋白量やアルブミン値などの栄養状態およびBMIにも両群間に差はなかった.手術は胃切後を除き,全例SSPPDとした.再建はChild変法で,膵は膵管空腸粘膜吻合,胃空腸吻合は前結腸経路とした.手術時間,出血量および輸血について両群間に差はなかった.A群は全例soft pancreasで,B群では28例(71.8%)で,吻合主膵管径は各々,3.7mm,4.2mmと差はなかった.術後合併症の発生については,Clavien-Dindo分類のGradeIIがA群で2例,B群に2例で,GradeIIIaがA群で8例,B群に7例で,共にIIIb以上はなかった.合併症の内訳についても,両群間に差はなかった.Grade B, C以上の膵液瘻は,A群3例に対しB群3例で,胃内容排泄遅延および難治性下痢は両群共に認められなかった.経口摂取の開始はA群が6.0日,B群が5.4日で,術後在院日数はA群が50.4日,B群が35.4日と,後期高齢者群で経口摂取の開始時期が遅く,在院日数も延長傾向を認めたが,有意差はなかった.両群間に手術成績や合併症の発症率に差はなかった.【結論】術前の臓器機能が良好で,performance statusが維持され,耐術可能と判断できれば,後期高齢者に対しても安全にPDを施行できる可能性が示唆された.
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