演題

PJ3-1

当院における高齢者膵切除症例の検討(大腸切除症例との比較)

[演者] 林 大介:1
[著者] 夏目 誠治:1, 千田 嘉毅:1, 伊藤 誠二:1, 小森 康司:1, 安部 哲也:1, 三澤 一成:1, 伊藤 友一:1, 木下 敬史:1, 清水 泰博:1
1:愛知県がんセンター中央病院 消化器外科

【背景】高齢者に対する膵切除は短期的には安全に施行できるとの報告が増えてきている.しかし,その長期成績に関する報告は少なく,高齢者の場合は他病死が多いと推測され,その適応,意義に関して未だ一定した見解がない.一方で,大腸切除は比較的侵襲の低い手術であり,両者を比較することで高齢者に対する手術侵襲が予後に及ぼす影響を明らかにできる可能性がある.
【目的】①高齢者膵切除症例の短期成績を若年者膵切除症例と比較検討する.②高齢者における膵切除症例と大腸切除症例で他病死率(他病死数/全死亡数)と他病死に至るまでの期間を検討する.
【対象】1996年1月から2016年3月までに当院で膵切除を行った748例.同時期に当院で大腸切除を行った7264例中,80歳以上の高齢者大腸癌症例190例.
【方法】①80歳以上(PO群)と80歳未満(PY群)に分類し両群間で術前因子,手術成績を比較検討した.②80歳以上の高齢者で膵切除症例(PO群)と大腸切除症例(C群)の他病死率と他病死までの期間を比較検討した.
【結果】①PO群が35例,PY群が713例,PDが26 vs 517例,DPが9 vs 235例であった.PO群で有意に悪性疾患が多く(34例vs 579例(p=0.003)),術前併存症数が多く(1.4例vs 0.8例(p<0.001)).Ccr(p=0.007)),呼吸機能(p<0.001)も有意にPO群が悪かった.手術時間,出血量,Clavien-Dindo gradeIII以上の合併症率,術後在院日数は両群間で有意差を認めなかったが,せん妄に関しては3例vs 17例(p=0.05)と有意にPO群で多かった.②PO群35例の年齢中央値は81歳,C群190例は82歳で有意差はなかった.他病死率に関しては5例(肺炎,胆管炎,事故死各1例,原因不明2例)(55%)vs 13例(他臓器癌4例,心血管系3例,肺炎3例,イレウス1例,原因不明2例)(20%)(p=0.036)と有意にPO群で高かった.しかし,他病死までの期間は中央値で694日(115-1817日)vs 721日(34-1772日)(p>0.999)と有意差を認めなかった.通院中断症例が4例vs16例(p=0.525)で有意差を認めなかった.
【結語】80歳以上の高齢者では併存疾患は多いものの,短期的には安全に膵切除が施行できると考えられた.しかし長期的には膵切除群で他病死症例が多く,手術侵襲によるPS低下が原因と考えられた.しかしながら症例数が少なく,通院中断症例も多いため正確な評価にはさらなる症例の集積が望まれるが,慎重な症例選択が肝要と考えられた.
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