演題

PJ2-7

脳死下膵臓移植における術前サルコペニアが術後成績に与える影響

[演者] 福田 泰也:1
[著者] 浅岡 忠史:1, 江口 英利:1, 野田 剛広:1, 和田 浩志:1, 川本 弘一:1, 後藤 邦仁:1, 伊藤 壽記:1, 森 正樹:1, 土岐 祐一郎:1
1:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅱ

【はじめに】膵臓移植は1型糖尿病(IDDM)に対する根治的な治療法であるが,IDDM患者は併存疾患が多く,術後成績の向上のためにも術前リスク評価が重要である.近年,様々な疾患におけるサルコペニアと術後成績との関連が報告されているが,膵移植患者における術前サルコペニアとの関連についての報告は少ない.【目的】脳死下膵移植患者における術前サルコペニアが術後成績に与える影響について検討する.【対象】2000年~2016年までに当科で施行した脳死下膵移植42例を対象とした.【方法】レシピエントのサルコペニアは,術前CTを用いて,骨格筋量は臍レベルでの腸腰筋面積/身長2(PMI; psoas muscle index),骨格筋の質は同レベルでの多裂筋/皮下脂肪CT値(IMAC; intramuscular adipose tissue content,高値であるほど筋肉の脂肪化が強く質の低下を示唆する)で代用し,男女別に集団の下側四分位以下をサルコペニアと定義した.これらが術後短,長期成績に与える影響について検討した.術後合併症はClavien Dindo(CD)分類に従ってgradingし,graft lossは移植膵摘出もしくは血中CPR<0.3 ng/mlと定義した.【結果】レシピエントの年齢中央値は44歳(30-65),男性19,女性23例.術式はSPK 35,PAK 6,PTA 1例.マージナルドナー(Pittsburgh基準)は30例であった.PMI は男性355.5 cm2/m2,女性271.3 cm2/m2以下,IMACは男性-0.41,女性-0.17以上をサルコペニアとした(各々12例).Graft lossは観察期間内で42例中7例(16.7 %)に認めたが,PMI,IMACとの関連を認めなかった(log-rank test: PMI; p=0.72, IMAC; p= 0.17).しかし,周術期におけるCD分類gradeIIIa以上の合併症は,IMAC低値の群(30例中7例,23.3 %)に比して,高値の群(12例中7例,58.3 %)で有意に多く認められた(p=0.033).また,観察期間内に認めた2死亡例はいずれもPMI低値かつIMAC高値の患者であった.【まとめ】術前サルコペニアは,レシピエント側因子として移植膵の生着率との関連を認めなかったが,特に骨格筋の質が術後重篤な合併症と関係していた.
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