演題

PJ2-6

ERASにおける膵頭十二指腸切除術後のno NG tubeの安全性と有効性

[演者] 小林 良平:1
[著者] 川井 学:1, 廣野 誠子:1, 岡田 健一:1, 宮澤 基樹:1, 清水 敦史:1, 北畑 裕司:1, 上野 昌樹:1, 速水 晋也:1, 山上 裕機:1
1:和歌山県立医科大学附属病院 消化器外科・内分泌・小児外科

【諸言】Enhanced recovery after surgery(ERAS)の周術期管理としては経鼻胃管廃止(no NG tube)が推奨されている.しかし,膵頭十二指腸切除後の胃排泄遅延(DGE)は頻度の高い合併症の一つであり,嘔吐,胃内容逆流による誤嚥防止のため胃管留置されているのが現状である.DGE減少を目的とした術式に関する臨床試験の結果を反映し,ERASに基づいたno NG tubeの安全性について検討した.【胃排泄遅延減少させる術式の開発】膵頭十二指腸切除後胃排泄遅延減少のために2つの術式に関する無作為化臨床試験を行い,十二指腸空腸吻合の結腸後再建に対する結腸前再建の有用性(結腸前再建; 5% vs.結腸後再建; 50%, Ann Surg 2006)およびPpPDに対する幽門輪切除膵頭十二指腸切除術(pylorus resecting PD:PrPD)の有用性(PpPD;17% vs. PrPD;4.5%, Ann Surg 2011)を証明した.次に長期成績として,PpPDとPrPDにおける2年後の体重減少,ダンピング症候群,下痢などの晩期合併症,栄養評価の比較を行った.その結果,PrPDはPpPDの長期成績と同等であることを証明した(World J Surg 2014).【術後no NG tubeに関する臨床研究】DGEを減少させる術式として結腸前再建幽門輪切除膵頭十二指腸切除術を確立以降,術後経鼻胃管を廃止した.2009年4月から2014年12月に膵頭十二指腸切除術を施行した320例についてno NG tubeの安全性を検討した.主要評価項目は胃管再挿入率.【結果】胃管再挿入率は20例(6.2%)であった.術後胃拡張および嘔吐は21例(6.6%)に認めたが誤嚥性肺炎および胃空腸吻合縫合不全は認めなかった.DGEによる再入院を1例(0.3%)に認めたがDGEによる再手術は0例であった.術後経過として飲水開始日,経口摂取開始日,術後在院日数の中央値はそれぞれ,2日,5日,16日であった.【結語】結腸前再建幽門輪切除膵頭十二指腸切除術確立後,ERASにおけるno NG tubeは安全である.no NG tubeは,胃管留置による不快感が無くなることのみならず,早期離床および早期経口摂取再開の可能性が高まることが示唆された.
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