演題

PJ2-3

浸潤性膵管癌術前治療施行症例における手術部位感染に関わる因子の検討

[演者] 植野 吾郎:1
[著者] 岩上 佳史:1, 江口 英利:1, 宮﨑 安弘:1, 浅岡 忠史:1, 野田 剛広:1, 和田 浩志:1, 後藤 邦仁:1, 森 正樹:1, 土岐 祐一郎:1
1:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅱ

【背景】
近年,浸潤性膵管癌(以下,膵癌)に対する術前治療において,安全性や有効性を示唆する報告は増加しているが,手術部位感染(Surgical site infection:以下,SSI)について検討された報告は少ない.今回我々は,膵癌術前治療施行症例において,SSI発生の有無に関わる因子を検討したので報告する.
【対象・方法】
2014年8月から2016年7月までに手術を施行した膵癌44症例に対し,院内SSIサーベイランスを行った.全44症例についてSSI発生の有無を検討し,さらにその中で,術前治療を施行した症例を対象とし,SSI発生の有無と,患者背景および術前治療前後の栄養状態に関連するかどうか検討した.
【結果】
膵癌44症例のうち,術前治療施行群35例と非施行群9例を比較したところ,SSIの有無に有意差を認めなかった(p=0.88).次に術前治療を行った35例を対象とし検討を行った.術前治療の内容は化学放射線併用療法が33例,化学療法のみが2例で,術前治療期間は中央値42日(21~447日)であった.膵頭部癌20例に対しては全例膵頭十二指腸切除術を施行,膵体尾部癌15例に対しては全例膵体尾部切除術を施行し,創部はすべて上腹部正中切開であった.SSIは7例に認め,そのうち表層SSIは2例,臓器体腔SSIは5例であった.年齢の中央値は70歳(51~84歳),性別は男性26例,女性9例で,術式,血管合併切除の有無等,いずれの項目でもSSI発生の有無に有意差は認めなかった.治療前の臨床的TNM分類のうち,cT1/2は8例,cT3/4は27例で,cT3/4で有意にSSIが多く(p=0.0423),多変量解析の結果,cT分類はSSI発生の独立したリスク因子であった(p=0.0258).また,米国NHSNに準じたリスクインデックススコアを用いて検討したが,SSIの発生頻度に有意差を認めなかった.
続いて,術前治療前後の栄養状態に関連する血液検査値や体重,皮下脂肪厚等について検討したところ,術前治療後のAlb値,リンパ球数,Hb値,ChE値,体重において有意な低下を認めたが,いずれもSSIの有無において有意な差は認められなかった.
【結論】
膵癌術前治療によってSSIは増加せず,術前治療による栄養状態の低下は,SSIに関与しない可能性が示唆された.今後さらなる症例の蓄積が望まれる.
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