演題

PJ1-7

進行再発膵癌化学療法における緩和治療への移行(Turning point; TP)スコア

[演者] 富安 真二朗:1
[著者] 坂本 慶太:1, 井上 光広:1, 飯坂 正義:1, 堀野 敬:1, 馬場 秀夫:2
1:熊本労災病院 外科, 2:熊本大学大学院 消化器外科学

【背景と目的】FOLFIRINOX(FFX)療法(Accord11 study)やGEM+Nab-PTX(GNP)療法(MPACT study)の登場により膵癌の化学療法は格段に進歩したが, 消化器癌の中で膵癌は最も予後不良であり, 進行再発膵癌患者に残された時間は貴重である. そのため適切な緩和的化学療法やBest Supportive Care(BSC)への移行タイミングの指標を作成することを目的とした.
【方法】約8年間に当院にて治療した膵癌患者120例を対象とし, 後ろ向きに検討した. 術後補助化学療法のみ施行した5例, 1コース以上化学療法が完遂できなかった2例, 化学放射線治療の1例を除き, GEM, S-1, GEM+S-1(GS), FFX, GNPの化学療法を延べ141レジメン施行した72例(CT群)と化学療法非施行40例(BSC群)を後ろ向きに検討した. CT群では各レジメン開始時点からの, BSC群では診断時からの生存時間分析(OS)をカプランマイヤー法で算出した. 患者背景(性, ECOG PS, BMI), 腫瘍因子(腫瘍局在, CA19-9), mGPS, NLR, PLR, CONUT score, PNIに関してCox比例ハザードモデルを用い単変量解析や多変量解析を行い, 予後不良因子から緩和医療へのTurning Point(TP)スコアを検索した.
【結果】1)BSC群の平均年齢は79歳(53-96), 男性19例, 女性21例, UICC-Stage IIA/IIB/III/IV : 7/1/3/29, (R 8, BR-A 2, UR-LA 1, UR-M 29)でMST 73.5日. 単変量解析での予後不良因子は, ECOG PS≧2, NLR≧3, PNI≦40であり, 多変量解析では予後不良因子はECOG PS≧2 (p=0.0208, HR 2.47〔95% CI 1.14-5.71〕) . 2)CT群72例の平均年齢は71歳(51-86), 男性46例,女性26例. Stage I/IIA/IIB/III/IV : 2/2/4/8/56, (R 4, BR-PV 4, UR-LA 8, UR-M 56)で, 初回化学療法からのMST 296日. 3)延べ141レジメン(GEM 51, S-1 37, GNP 25, FFX 15, GS 10,他3)施行した, レジメン開始時の患者の平均年齢は70歳, 男性94例, 女性47例. 単変量解析での予後不良因子は, ECOG PS≧2,女性, mGPS=2, NLR≧3, PLR≧150, CONUT score≧5, PNI≦40であり, 多変量解析ではNLR≧3 (p=0.0153, HR 1.69〔95% CI 1.11-2.56〕), PNI≦40 (p=0.0278, HR 2.99〔95% CI 1.14-6.87〕)であった. Turning Point(TP)スコアはNLR≧3とPNI≦40を各々1点として算出した. MSTはTPスコア 0/1/2: 385/215/105日であった.
【結論】進行再発膵癌ではTPスコア 2(NLR≧3 & PNI≦40)が, 緩和的化学療法やBSCへ移行すべき指標である.
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