演題

PJ1-5

切除不能局所進行膵癌に対するFOLFIRINOX療法 vs ナブパクリタキセル+GEM療法

[演者] 二宮 理貴:1
[著者] 小澤 文明:1, 中沢 祥子:1, 三井 哲弥:1, 宮田 陽一:1, 牧 章:1, 別宮 好文:1
1:埼玉医科大学総合医療センター 肝胆膵外科・小児外科

【背景・方法】近年の切除不能膵癌に対するFOLFIRINOX療法やナブパクリタキセル+ゲムシタビン療法(以下GA療法)などの新規化学療法レジメンは,その予後を大きく改善させるものとして期待されている.切除不能局所進行膵癌(Unresectable locally advanced pancreatic carcinoma:UR-LA)についても,これらの薬剤によりConversion surgeryに至る症例報告が散見されるようになってきた.当教室ではUR-LAに対して両薬剤での治療を積極的に取り入れ,何例ものConversion surgeryを行ってきている.今回我々は,当教室にてUR-LAと診断され,2014年2月~2016年1月に治療が開始されたFOLFIRINOX療法,GA療法ついてRetrospectiveに検討を行った.【結果】4コース以上施行されたFOLFIRINOX療法(FX群)は10例,2コース以上施行されたGA群は6例であった.FOLFIRINOXはmodifiedで,5FUボーラス投与は省略し,10例中5例のUGT1A1遺伝子多型single hetero症例ではCPT-11を150mg/m2に減量した.年齢中央値はそれぞれ65歳,67歳,腫瘍径中央値は4.4cm,3.6cmであり,その他性差や腫瘍マーカー値などを含め患者背景に有意差を認めなかった.治療期間中央値はそれぞれ140日,120日と差はなく,奏功率はFX群50%(PR4,SD5,PD1),GA群33%(PR2,SD3,PD1)とFOLFIRINOXで高い傾向にあったが,腫瘍径差に有意差を認めなかった.FX群では6例(60%),GA群では3例(43%)にConversion surgeryが施行された.R0切除率はそれぞれ83%(5例),67%(2例)であった.Evans分類はFX群でⅠ:1,Ⅱa:2,Ⅱb:1,Ⅲ:1,Ⅳ:1例,GA群はⅠ:1,Ⅱa:1,Ⅲ:1例で,双方ともEvansⅠの症例がR1切除となっていた.生存期間では1年生存率がそれぞれ90%,41.7%(95% C.I.),生存期間中央値が526日,349日とFX群で有意差をもって良好であった(P=0.0184).有害事象としては,Grade3以上の好中球減少はそれぞれ70%,50%に,Grade2以上の末梢神経障害はそれぞれ60%,83.3%に出現した.【考察】FX群,GA群で患者背景,治療期間,奏功率,手術移行率に有意差を認めなかった.生存期間においてのみFX群で有意に良好であったが,これは病理学的著効例や,手術不能例での継続治療でLong SDが得られている症例が含まれていることが要因であると考えられる.ただし,双方にR1切除症例が存在しており,今後はConversion surgeryへの判断根拠や手術施行のタイミングを十分に考察し,症例を蓄積していくことが必要であると考えられる.
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