演題

PJ1-3

切除不能膵癌に対する術前化学療法の意義

[演者] 中村 典明:1
[著者] 真田 貴弘:1, 渡辺 雄一郎:1, 斉藤 稔史:1, 石井 武:1, 米倉 孝治:1, 桑原 博:1, 五関 謹秀:1
1:秀和総合病院 消化器外科

【初めに】外科切除を意識した化学療法として,有害事象が少なくかつ腫瘍縮小効果が期待できるレジメンの確立が急務である.新規抗癌剤により近年では化学療法後に切除可能となる膵癌の報告が散見されるようになってきた.今回我々は,化学療法後に外科切除を施行した症例を報告し,その意義を検討する.
【対象】2014年1月から2016年11月までに新規抗癌剤としてNab-PTX/GEM療法を施行した32例のうち,切除を施行した4例について検討した.
【結果】
切除不能膵癌に対しNab-PTX/GEM療法を施行した32例の平均年齢は70.4歳,男女比は15:17であった.化学療法適用理由ではBR膵癌は5例であり1次治療4例,2次治療は1例,2次治療はFOLFIRINOXからの移行であった.UR膵癌は17例であり,1次治療14例,2次治療は3例であり,全例FOLFIRINOX療法からの移行であった.また再発例は10例であった.初発22例の進行度は,IVa/IVb 8例/14例.平均投与回数4.1サイクル(1-10).有害事象として脱毛はほぼ全例に見られ,その他の有害事象は,24例(75.0%)にみられ,骨髄抑制10例(41.7%),末梢神経障害15例(46.9%)であった.また発熱性好中球減少症を3例(9.4%)に,間質性肺炎を2例(6.3%)に認めた.Nab-PTX/GEM療法後に外科切除に移行したのは4例(12.5%)であった.全例男性であり平均年齢66.3歳とやや若い傾向があった.進行度は肝転移によるUR膵癌2例,局所進行UR膵癌2例であった.投与回数は平均4.8サイクル(3-6サイクル)であった.また全例何らかの有害事象を認め,骨髄抑制3例(75%),末梢神経障害3例(75%)であった.効果判定ではPR3例,PD1例であった.4例全例とも治療前には切除は考慮しておらず,縮小したため外科治療を追加するに至った症例である.
<症例>
72歳,男性.UR膵癌(T4(PV,Asp)M1(HEP))にて,Nab-PTX/GEM療法を導入.骨髄抑制と末梢神経障害にて適宜減量し,5クール施行.CT上原発巣は縮小し,肝転移が不明瞭となったため,初回治療より約6か月で,外科切除を施行した.開腹所見上,原発巣は著しく委縮し,肝転移は見られなかった.病理学的にはごくわずかに癌が残存し,CRではなかった.術後補助療法としてTS-1を行い,7ヶ月無再発生存中である.
【まとめ】Nab-PTX/GEM療法は重篤な有害事象が少なく,抗腫瘍効果が高い傾向があり,外科切除を考慮した化学療法として,その有効性が示唆された.
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