演題

PJ1-2

当院におけるStageIV膵癌に対する治療戦略

[演者] 牧野 裕庸:1
[著者] 亀高 尚:1, 深田 忠臣:1, 鈴木 崇之:1, 齋藤 学:1, 山下 和志:1, 清家 和裕:1
1:小田原市立病院 外科

【はじめに】StageIV膵癌(膵癌取扱い規約第7版)は極めて予後不良であり膵癌治療ガイドライン上, 非治癒状態と規定される.すべての治療は緩和目的に実施されるが,PSが良く主要臓器機能が治療に耐え,かつ患者自身が治療を希望した場合には化学療法を行うことが推奨されている.【症例】2004年4月から2016年3月までに,当科にて膵癌と診断された患者は147例であった.そのうち,画像もしくは病理学的にStageIV通常型膵管癌と診断され,当科にて手術・化学療法などの治療を行い,予後が判明している患者は53例であった.肝転移28例,腹膜播種26例,大動脈周囲リンパ節転移8例,肺転移5例,骨転移2例の1カ所または複数カ所の転移を認めた.また,そのうち23例には腹腔動脈または上腸間膜動脈浸潤も疑われた.【治療】化学療法を42例,手術を22例(原発巣切除10例,姑息的手術12例),放射線治療を1例,best supportive care(BSC)を10例に行った.【化学療法】ほとんどの症例でGemcitabine(Gem) base(Gem単剤,Gem+TS-1,Gem+CDDP,Gem+nab-Paclitaxel)の治療が施行された.2014年以降の症例には,新規化学療法(Gem+nab-Paclitaxel, FOLFIRINOX療法)を中心として,また原発巣切除症例の一部には術後補助療法としてTS-1を使用した.【手術】膵頭十二指腸切除4例,膵体尾部切除4例,腹腔動脈合併膵体尾部切除2例,バイパス手術10例,人工肛門造設2例を施行した.原発巣切除手術10例のうち7例がR1~2切除となった.3例に術前化学療法が奏功したため原発巣切除を施行した.また,4人が術後病理診断で腹膜播種や大動脈リンパ節転移陽性のためStageIVと診断された.【結果】全53例の5年生存率は5.3%,生存期間中央値(MST)は6.3ヶ月であった.姑息的手術症例のMSTは6.7ヶ月,B.S.C.症例のMSTはわずか1.9ヶ月であった.化学療法のみやB.S.C.症例で2年生存した者はいなかった.一方,原発巣切除を施行した10人では,最長生存期間は66.9ヶ月でMSTは31.3ヶ月(P<0.001)であった.しかし,無再発生存例は36ヶ月生存中の1人のみであった.【まとめ】StageIV膵癌は,診断時に多発転移だけでなく局所進行していることが多く,切除不能で根治性はほとんど無かった.また,十分な化学療法を施行することも困難であった.しかし,化学療法奏功例や術前に転移診断が困難であった限定的な症例には,積極的切除を含めた集学的治療を行うことで予後が改善されることが示唆された.
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