演題

胃上部胃癌に対する脾動脈周囲リンパ節の郭清の工夫と観音開き法再建

[演者] 布部 創也:1
[著者] 井田 智:1, 熊谷 厚志:1, 比企 直樹:1, 大橋 学:1, 峯 真司:1, 渡邊 雅之:1, 斎浦 明夫:1, 佐野 武:1
1:がん研究会有明病院 消化器外科

背景:上部胃癌に対する腹腔鏡下のリンパ節郭清はいまだ定型化が難しい.とくに後壁病変では後胃動脈沿いのリンパ流が重要となり視野展開,アプローチなどの工夫が必要となる.また噴門側胃切除(LAPG)後の再建はその困難性,術後の食事摂取や逆流性食道炎が問題となり適応が議論されている.当院では2009年より体上部の早期胃癌に対してLAPG観音開き法再建を導入している.郭清の工夫と再建手技を供覧する.
適応:U領域の胃癌T1N0で3分の2以上の残胃温存可能症例.
手技:後壁病変では後胃動脈根部から脾動脈遠位部の郭清を行う.胃後壁のオーガンリトラクターによるつり上げと助手のペディクルの牽引,膵臓の圧排で視野を確保する.脾臓の下極から左胃大網動脈根部,短胃動脈根部を郭清していき,適宜郭清範囲を広げるように脾動脈遠位部の郭清を近位側から遠位側に行っていく.胃の切離を行い,腹腔動脈周囲郭清を行う.リンパ節郭清終了後,臍部の創より残胃を引き出し2.5x3.5cmのフラップを前壁に作成する.再気腹後,鏡視下に断端から約5cmの食道後壁とフラップの上端を固定する.食道-胃吻合はフラップの下端にて後壁連続吻合,前壁結節吻合(2層吻合)で行う.前壁は口径差を合わせるように結節縫合にて行う.フラップにて襟様に吻合部を被覆し再建終了.
結果: 124例に本術式を施行(男性:97例,女性:27例,平均年齢:67歳).平均手術時間は423分,平均出血量は103ml.胆摘を8例,肝部分切除を1例に同時に施行した.膵液瘻を3例,断端部縫合不全を2例,吻合部縫合不全を1例に認めた.術後の透視では全例に逆流は認めなかった.
考察:脾動脈遠位部の郭清は小弯側病変には不要であると考えられるが,後壁や大弯側病変には重要と思われる.腹腔鏡では視野確保が難しく,また脾動脈のバリエーションなども考慮に入れる必要がある.LAPG後の観音開き法再建は上川らが考案し,良好な術後成績が報告されている.縫合不全の症例のうち2例は残胃のESD瘢痕のある症例であり,血流の問題が考えられる.断端部から2cm程度は離してフラップを作成することが重要と考える.
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