演題

PJ1-1

切除不能・切除困難膵癌に対する化学療法後の切除成績の検討

[演者] 松木 亮太:1
[著者] 金 翔哲:1, 百瀬 博一:1, 小暮 正晴:1, 横山 政明:1, 鈴木 裕:1, 阿部 展次:1, 正木 忠彦:1, 森 俊幸:1, 杉山 政則:1
1:杏林大学医学部 消化器・一般外科

<背景>
膵癌は消化器癌の中で最も予後不良であり,年々増加している.近年,FOLFIRINOX療法(FOL)やGEM+nab-Paclitaxel療法(GA)の出現により,切除不能膵癌に対する化学療法の成績は向上し,また化学療法奏功例に対する切除の報告がなされるようになった.しかしながら化学療法後の切除の安全性や切除成績に関する検討は十分なされていない.今回,当科で経験したFOL療法およびGA療法後の切除成績につき報告する.
<方法>
当院では門脈因子による切除可能境界膵癌(BR-PV)に対しては手術先行の方針としているが,動脈因子による切除可能境界膵癌(BR-A)は切除困難と判断し,化学療法を先行している.
2013年12月から2015年9月までの期間に当院を受診した膵癌のうち,初診時に切除不能もしくは切除困難と診断され,FOLおよびGA療法施行後に切除した症例を対象とし,切除成績に関して検討した.
<結果>
2013年12月から2015年9月までの期間に切除不能・切除困難膵癌と診断され,FOL療法,GA療法が施行されたのは44例であり,(FOL:18例 GA:26例)その内訳はBR-A例 4例 局所進行例(UR-LA)11例 遠隔転移例(UR-M)29例であった.44例中6例(BR-A 1例,UR-LA 3例,UR-M 2例)で化学療法後に根治切除を企図し,うち5例(5/44 11.4%)でR0/R1切除が達成できた.同時期に,切除を先行した切除可能膵癌およびBR-PV膵癌21例と比較して,手術時間(化学療法施行群511分vs切除先行群 448分 P=0.454)出血量(化学療法施行群490mlvs切除先行群 734ml P=0.630)CD grade 3以上の合併症発生率(化学療法施行群0%(0/5) vs切除先行群 23.8%(5/21) P=0.309)R0切除率(化学療法施行群80%(4/5)vs切除先行群 71.4%(15/21) P=0.589)術後在院日数(化学療法施行群16日vs切除先行群 26日 P=0.125)に有意差を認めず,無再発生存期間も有意差を認めなかった.(化学療法施行群 174日vs 切除先行群 148日 P=0.747)
また化学療法単独治療群とConversion surgery群との生存期間中央値を比較すると, 化学療法単独治療群243日vs Conversion surgery群336日(P=0,137)と有意差はないものの,Conversion surgery群の方が長い傾向にあった.
<結語>
切除不能・切除困難膵癌に対する化学療法後の切除は,切除可能膵癌に対する切除と比較しても安全性に劣らず,化学療法の効果を認めた症例に対するConversion surgeryは切除不能・切除困難膵癌の生存期間の延長に寄与する可能性がある.今後症例を積み重ね,検討をしていく必要がある.
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